理系女子の活動日誌【QK】 (ページ31)

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食器を洗っている時にけんけんさんはやってきた。私がふたり分の食器を洗っているだけでもしかしなくても河村さん昨日泊まりだったでしょ、と気づいていて、むらたくさんに少しばかりの注意をしに行った。気丈なように見えるけど、心は繊細だから無理はしないで欲しいけど、なあ。

けんけんさんが戻ってきた。むらたくさんにはまだ寝てもらってるらしい。

｢あ、私むらたくさんの分編集したんで、これで大丈夫かチェックしてもらいたいんですけど｣

わかった、といってむらたくさんのデスクに向き合う。ばばばっと動画を見て、うん、いい出来だよ、ありがとう、と言って貰えた。

｢...河村さんはさ、繊細なのに強がりだから、僕たちには弱いところ見せてないかもだけど、Aちゃんにはもしその姿を見せたときには、優しく見守ってくれないかな｣

少しだけ寂しそうな表情を見せるけんけんさん。男性同士の仲というものがどういう繋がりなのか、これまで女性として生きてきた私にはわからないので、任せてください、と言った。

｢でも、けんけんさんもですよ？P組は何でもかんでも自分で解決しようとするので、もっと私たちを頼ってください！力になれないかもしれないけど、助けることくらいはできるので！｣

今までたくさん自分の力で頑張ってきた人達の集まりだから、お兄ちゃんを始めとして上から下まで人に頼る、ということをあまりしない。寧ろ私が頼りすぎなのかもしれないのかな、と思うほどには。まあそんなことないんだけど。
私は誰の力にも及ばないし、1人で誰かを超えることなんて出来ないから、せめて、みんなを支えて助けられる人にはなりたいな、なんてね。

任されることはまだまだかもしれないけど、お手伝いをしたり、一緒に話をして楽になったり、いっぱい笑って、楽しんで、そういう気持ちを共有していける人になれるように、この中では若輩ものだけど、後から入ってきた人の特権として、いいとこどりしちゃったりするなんてのもありかも。

Aちゃんは頼もしいね、なんて心からは思っていないって勝手に決めつけるけど、お言葉に甘えて、力を借りちゃおうかな、と笑うけんけんさんに嘘は含まれていないような気がして。それで頼られたと有頂天になる私も、やっぱりまだまだ子供かもしれない。

みんなの前に立って先導したり、後ろからアドバイスをすることすら私には出来ないけど、隣にはいさせてもらえますか？...なんて。