今日の彼は素直 ページ9
今日も今日とてこの部屋を訪れた太宰は、やあ。と言ったきり何時もの様に話し掛けて来ようとはしなかった。
少し不思議に思いながらも、そこまで気にも留めずに手を動かしていれば、此方に寄ってきた彼に背後からぎゅう、と抱き締められる。
突然の事に私はひゅっ、と息を呑んだ。
…その振動で、ガラスペンがぐちゅりと紙にインクを付けたからだ。
何も言わない彼の香りがふわり、と鼻を掠める。そういえば、彼に触れたのは初めてだ。そんな事を考えながらも、私は駄目になった作戦書を恨みがましく、くしゃりと握った。
言いたい事は一つである。
巫山戯るな。
�犒�の奇行の所為で作戦書が一枚ぱあだよ��
私がその不満を口にする事は無かった。
「…嗚呼、面白くない。君ってば、人を誑かすのが得意だねえ。」
彼は不貞腐れた様に呟く。
唐突に顔を出した彼の本心。
私の乱れた心を表すかの様に、手元の紙がぐしゃりと音を立てて潰れた。
「…嫉妬？」
私が恐る恐る尋ねれば、彼は�爐匹Δ�な�瓩噺世辰童�を竦める。それからぐーっと私の背中に体重をかけた。
……重い。
「ねえ、人気者の君にお誘い。明日の夜、皆んなでルパンに集まる事になっているんだ。一緒に来たまえよ！」
にっこりと微笑んだ彼はすけこまし男の様な顔をしている。私は直ぐに断った。
「嫌。私は生憎、男の友情に水を差すような空気の読めない女じゃないの。」
すると彼はぷく、と頬を膨らませ不満の意を表すのだ。
「ええ？ノリが悪いなあ。皆んなが君を待ち望んでいるのに？」
…彼は私を如何しても連れて行きたいらしい。不自然にならない様にと気を付けながらも、彼の腕をやんわりと解いて微笑みを返す。
「信じて？こういう時の女の勘は中るのよ。」
彼はまだ納得のいかなそうな顔をしていたが、頷いてくれた。
そして、懲りずにもう一度私の首に腕を回す。私は内心溜め息を吐いた後、彼に提案した。
「…判った。今度二人で飲みに行こう？それなら私としても問題ないから。」
その言葉を聞いた彼は、にっこりと笑ってこう言ったのだった。
「顔真っ赤。かーわい、」
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ゆー - 初見です！すごくおもしろいです！！！更新頑張ってください！待ってます！ (2018年5月17日 12時) (
レス) id: bf6bf64614 (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - 碧さん» コメントと優しいお言葉をありがとうございます…！更新再開させて頂きました。良ければまた読んで頂けると嬉しいです…！ (2017年12月11日 18時) (レス) id: 15f8ca2f69 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - いつも楽しく読ませていただいています。ゆっくりでも全然大丈夫ですから、体調に気をつけて頑張ってください！応援しています！ (2017年11月27日 18時) (レス) id: 16d028813b (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - 天衣失格さん» ありがとうございます…その様にお褒め頂き恐縮です……！これからもこの小説をどうぞ宜しくお願い致します！ (2017年11月18日 20時) (レス) id: 1989906b38 (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - マイさん» コメントありがとうございます！楽しみにして下さっているのですか……！更新頑張りますね！ (2017年11月18日 20時) (レス) id: 1989906b38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じゅき | 作成日時：2017年11月12日 21時
