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目覚めの白湯 ページ5

友人になった彼が、私の元を毎日訪れる様になってから数日。
私は久し振りにこの部屋を訪れた男と向かい合わせで座っていた。

丸眼鏡が特徴的な彼の名前は坂口安吾。ポートマフィア随一の情報員である。……そして私はそんな彼の外套の袖を掴んでいた。





「…ちょっと、離してください。私は仕事が、」

「手伝う。後で手伝ってあげるから聞いて。と言うか君は先ず寝なさい、隈が酷い。」

「引き留めている君が其れを言います?」


そんな事を言いながらも、優しい彼は椅子に座り直してくれる。そして言うのだ。報酬が良いので聞きましょう、と。不器用な優しさに少し頬を緩ませながらも私は躊躇いなく言葉を紡いだ。








「助けて。友人が思った以上に変人でどうすれば良いのか判らない。」



一瞬の沈黙。






「……では、私は此れで。」

「乗り掛かった船でしょ……!見捨てないで!!」


そう言って泣きつけば、彼はぐっと言葉を詰まらせて頭を抱える。




「見捨て…!?………はあ。貴女は言葉選びが本当に上手だ。」

「うん、わざと。」

「冗談抜きで帰りますよ。」


なんて文句を零しながらも立ち上がらない安吾に、私は問題の彼について話し始めた。


事の発端は昨日。

毎日増えていく新しい包帯が気になって、その傷は?と興味本位で聞いてみたのがいけなかったのだ。
彼は笑顔でこう告げる。








「入水したら、尖った岩で腕を切ってしまったんだ。」



「…今日も彼の包帯が増えていたんだよ……。聞くのが怖くて黙っていたのに、態々話された。絶対に面白がられていると思う。」

「 其れが彼ですよ、何時も通りのね。」

彼が溜め息を吐いた。



「……何処かに安全で簡単な自弑方法は無いかと聞かれた。洗剤を持っていないか、とも。」


「其れは……コップに入れて飲む気ですね。」




…もう一度、溜め息を吐いた。

それから己の鞄からバサバサと大量の書類を出す。山になった其れを、自分の前に置いた彼は眼鏡のブリッジをくい、と上げた。


「…手伝ってくれるのですよね?貴女は、眠気覚ましの珈琲を淹れて下さい。そうしたら、ある意味で(・・・・・)彼の扱いに長けた男を紹介してあげましょう。」




私も彼の真似をして溜め息を吐いてから立ち上がる。湯を沸かす準備をした後、彼の丸眼鏡を後ろからひょい、と取り上げた。


「15分で良い。働かない頭で仕事をするのと、少し寝てから仕事をするの。どっちが善いかは、分かるよね?」

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ゆー - 初見です!すごくおもしろいです!!!更新頑張ってください!待ってます! (2018年5月17日 12時) (レス) id: bf6bf64614 (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - 碧さん» コメントと優しいお言葉をありがとうございます…!更新再開させて頂きました。良ければまた読んで頂けると嬉しいです…! (2017年12月11日 18時) (レス) id: 15f8ca2f69 (このIDを非表示/違反報告)
- いつも楽しく読ませていただいています。ゆっくりでも全然大丈夫ですから、体調に気をつけて頑張ってください!応援しています! (2017年11月27日 18時) (レス) id: 16d028813b (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - 天衣失格さん» ありがとうございます…その様にお褒め頂き恐縮です……!これからもこの小説をどうぞ宜しくお願い致します! (2017年11月18日 20時) (レス) id: 1989906b38 (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - マイさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さっているのですか……!更新頑張りますね! (2017年11月18日 20時) (レス) id: 1989906b38 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:じゅき | 作成日時:2017年11月12日 21時

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