変な友人 ページ4
細身の高身長に、真っ黒な外套。巻かれた包帯。光の無い目と手入れのされていない髪を見て私は確信する。
この男が、太宰治だ。
気がつくと、最年少幹部様がこの部屋の中にいらっしゃった。一言二言、話してみた印象は普通の人。
太宰治。
幹部の名に恥じない頭脳の持ち主だが、目をひん剥く程の変人らしい。あの坂口安吾ですら手を焼く相手だと聞いていたのだが、怪我が異様に多いという点を除けば、今の所至って普通である。
取り敢えず少しでもおもてなしを、と珈琲を淹れれば、口を付けた彼は楽しそうに笑った。
「ふふ、ちょっと埃っぽい。」
「……あんまりに資料が多いから、隅々まで掃除が行き届かないんだ。許してくれ。」
…それにしては、随分と嬉しそうだが。
その言葉を飲み込んで取り敢えず、と謝れば、彼は殊更優しい顔で笑った。
�爐ΔΔ鵝�寧ろ此れが善い��
……益々不思議である。人当たりの善い笑顔を見せる彼は、泣く子も黙る幹部様とは到底思えない。しかし、相手は初対面の客人とは言えど、上司である。
長居させるのも悪いと思い、私は彼に要件を伝えた。
「…さて。知っての通り、私は作戦参謀だ。上司である君の願いならば出来るだけ叶えるし、いつでも力になる。使い潰しても良し、手懐けても良し。使い方は、君次第だよ。」
そう言えば、彼は数回瞬きをした後うーん、と唸る。
ふと、意味ありげに私を見やった彼はにっこりと微笑んで、こう告げたのだ。
「じゃあ、君は私の友人になり給え！」
「………………へ、？」
…思わず素で返してしまったのは仕方がないと思う。
彼を一瞬でも普通だ、なんて思った先程の私を両頬一発づつ殴りたい。そこまでしても、今の私のトンカチで頭を殴られたかの様な衝撃には及ばないのだが。
何だそれは。
この一言が今の私の全ての心情を、簡潔に表していると言えよう。
この人は本当に、冷酷さが売りのあの太宰治か？趣味は部下いびりじゃ無かったのか？
しかし…いや。でも、
更に思考をめぐらそうとして、私は其れをやめた。にっこりと笑う彼の瞳の中に、小さく揺れ動く不安が見えたのだ。
彼が何を考えているのか分からない？気味が悪い？笑止な事を言う。
所詮、噂は噂に過ぎないのだ。
「…変な人。」
子供みたいな笑顔を見せた彼の事を、私はすぐに気に入った。
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ゆー - 初見です！すごくおもしろいです！！！更新頑張ってください！待ってます！ (2018年5月17日 12時) (
レス) id: bf6bf64614 (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - 碧さん» コメントと優しいお言葉をありがとうございます…！更新再開させて頂きました。良ければまた読んで頂けると嬉しいです…！ (2017年12月11日 18時) (レス) id: 15f8ca2f69 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - いつも楽しく読ませていただいています。ゆっくりでも全然大丈夫ですから、体調に気をつけて頑張ってください！応援しています！ (2017年11月27日 18時) (レス) id: 16d028813b (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - 天衣失格さん» ありがとうございます…その様にお褒め頂き恐縮です……！これからもこの小説をどうぞ宜しくお願い致します！ (2017年11月18日 20時) (レス) id: 1989906b38 (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - マイさん» コメントありがとうございます！楽しみにして下さっているのですか……！更新頑張りますね！ (2017年11月18日 20時) (レス) id: 1989906b38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じゅき | 作成日時：2017年11月12日 21時
