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番外編 特別な夜 ページ22

机の上に人数分の四つのグラス。それからクリスマスらしい料理が並べられる。

元々ここにあった書類の山は治によって床へばら撒かれた。…片付けの事を考えると胃が痛くて仕方がない。そんな私の心情など知らず、治はグラスを持ち上げる。
それを合図に二人もグラスを手に取り、早くしろと言わんばかりに私を見つめるのだ。





その光景に、私は一人目を見開く。

ずっと入る事など出来ないと思っていた三人の輪の中に漸く入れた様な気がして、私は思わず微笑んだ。









一時間程で小さなパーティはお開きとなった。
安吾も織田作も、仕事があるらしい。

安吾は兎も角、織田作は何の仕事があるの?と尋ねれば、彼は少しだけ表情を柔らかくして、サンタの仕事があるんだと言った。





二人を見送った私は、机を見やる。
酒を煽る様に飲んだ治は突っ伏してしまっていた。


狸寝入りなんてしてないで早く帰ってよ、と声を掛ければ彼は目だけを此方に向ける。



「あれ、バレてた?」

「ほら退いて。机片付けられないでしょ。」



冷たくあしらえば、彼は意外にも素直に退いてくれた。
書類をもう一度机の上に置いていけば、ほら。何時もの部屋の出来上がり。


「A、如何して私が最後まで残ったのかわかる?」

…確かに、如何してだろう?
私が振り向けば、彼は愉快そうに笑う。





「じゃーん!!君のために贈呈品を持ってきたのだよ!」

「え……私、に?」


じゃーんなどと派手な効果音を口で発しながらも、彼の広げられた手には何も無い。嬉しさ半分、申し訳無さと不安半分私は彼の言葉を待った。








「プレゼントは……わ・た・し」

「要らない。」

語尾にハートマークでもつきそうな声でそう言われ、私はきっぱりと断った。ええ!?と言う声が聞こえるが無視だ、無視。


貰って貰ってとベタベタ引っ付いてくる治に私は確信する。この男、だいぶ酔っている。
溜息を吐いた私は、着けていたループタイを外し、彼の首に掛けた。首元を見つめた後、きょとんと目を瞬かせる治。


「やっぱり、今日一日だけ治を貰おうかな。奥に寝室があるからそこで朝まで静かに寝てて。私の物になったって事は、言う事聞いてくれるんでしょう?」

「これは?」




不思議そうな声がおかしくて、私は笑った。


「プレゼントのお返し。私よりも治の方が似合いそうって前々から思ってたんだよね。」




彼は、着けたくてもスーツには着けられないじゃないか、と嬉しそうに笑った。

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ゆー - 初見です!すごくおもしろいです!!!更新頑張ってください!待ってます! (2018年5月17日 12時) (レス) id: bf6bf64614 (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - 碧さん» コメントと優しいお言葉をありがとうございます…!更新再開させて頂きました。良ければまた読んで頂けると嬉しいです…! (2017年12月11日 18時) (レス) id: 15f8ca2f69 (このIDを非表示/違反報告)
- いつも楽しく読ませていただいています。ゆっくりでも全然大丈夫ですから、体調に気をつけて頑張ってください!応援しています! (2017年11月27日 18時) (レス) id: 16d028813b (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - 天衣失格さん» ありがとうございます…その様にお褒め頂き恐縮です……!これからもこの小説をどうぞ宜しくお願い致します! (2017年11月18日 20時) (レス) id: 1989906b38 (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - マイさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さっているのですか……!更新頑張りますね! (2017年11月18日 20時) (レス) id: 1989906b38 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:じゅき | 作成日時:2017年11月12日 21時

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