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必然を避ける力 ページ19

某時刻、ホテルにて。


大きな窓から一望出来る景色を私は惘乎(ぼんやり)と見つめていた。
坂口安吾。彼は一体何者なのだろう。
私にあんな物を贈った所を見るに、少なくとも私達の味方では無い事は確かである。

さて、首領に報告すべきか否か。
そこまで考えて、私の中には新たな疑問が生まれた。





ーー今回の件、首領はどこまで知っている?

考えてみれば、彼の行動には違和感を感じるばかりである。
一番は、安吾の調査に何故織田作を選んだのか?という事だ。完全なる合理主義である彼が、織田作を選ぶ事が先ず可笑しい。
確かに彼は優秀であり、行方不明になっている坂口安吾の友人でもある。一見筋が通っている様にも思えるが、其れを言うなら太宰治にも同じ事が言えるだろう。

必要なのは、頭脳ではなく戦闘力や危機察知能力という事なのだろうか。いや、治もそれなりに戦闘は……


「坂口安吾、」

織田作の声で、思考の海から引き上げられる。


「ーーそして、誰も君の正体を知らない。」




私は黙り込んだ。
そうやって呟く事に意味は無いが、全くもってその通りである。
部屋のど真ん中に置かれた椅子に座る彼は、深々と溜め息を付き、天井を仰ぎ見た。





「……ん?」


突然立ち上がり、椅子の上に乗った彼。
手を伸ばす先には、通気口?

…通気口に何かあるとでも言うのだろうか?



下から覗き込めば、中には鍵のかかった箱が。
流石織田作、と笑えば彼は少し困った様な顔を私に向けた後、小箱に手を伸ばした。

織田作の角ばった長い指が箱に触れた瞬間。




彼は踏み台にしていた椅子を勢い良く蹴って床に身を投げ出した。直後聞こえる、銃声と破砕音。


「しまった、狙撃手(スナイパー)か…!」

「A!!」



ぐっと勢い良く腕を引っ張られ、私は織田作の方に倒れ込む。後方から聞こえたパリン、という不吉な音の正体を振り向いて確認してみれば、先程まで私が立っていた場所のガラスは綺麗に割れていた。

織田作は私を抱き寄せる腕の力を少し強めて、鏡で向かいのビルを確認した。次に、私の身体に怪我が無い事を確認すると、ふう、と息を吐く。



「…突然すまないな、怪我はないか?」

「君が助けてくれたからね、ありがとう。……まあ、そんな事よりも今はアイツだ。追い詰めよう。予想逃走経路は3つ。…私を信じれば絶対に出会えるよ。」



「急ごう」


彼が素直に頷き立ち上がるので、返事の代わりに私はにい、と口角を上げた。

考え事は足を遅くする→←手を差し出せば



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ゆー - 初見です!すごくおもしろいです!!!更新頑張ってください!待ってます! (2018年5月17日 12時) (レス) id: bf6bf64614 (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - 碧さん» コメントと優しいお言葉をありがとうございます…!更新再開させて頂きました。良ければまた読んで頂けると嬉しいです…! (2017年12月11日 18時) (レス) id: 15f8ca2f69 (このIDを非表示/違反報告)
- いつも楽しく読ませていただいています。ゆっくりでも全然大丈夫ですから、体調に気をつけて頑張ってください!応援しています! (2017年11月27日 18時) (レス) id: 16d028813b (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - 天衣失格さん» ありがとうございます…その様にお褒め頂き恐縮です……!これからもこの小説をどうぞ宜しくお願い致します! (2017年11月18日 20時) (レス) id: 1989906b38 (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - マイさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さっているのですか……!更新頑張りますね! (2017年11月18日 20時) (レス) id: 1989906b38 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:じゅき | 作成日時:2017年11月12日 21時

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