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とある少女のお話 ページ16

ーーその前に、20秒時間を頂戴。


私はそう言ってガラスペンを握り直す。
カモフラージュのために使ったこのペンと書類だが、どうせならば仕上げて出発したいと思ったのだ。サインをするだけの簡単なものなので、それだけ時間があれば十分だろう。
ペンを動かし、自分の名前を記入すれば、ほら完成。



「よし。…ちょっと持ってて」

出来上がった書類を押し付けてから立ち上がり、私は身支度を始める。織田作は、手元の書類を見ると、少しだけ顔を曇らせた。



「…此れは?」

「見てわかるでしょう?計画書だよ。実行は明日、内容は敵拠点の殲滅。」





後ろからひゅ、と小さく息を飲む音が聞こえる。
私はその様子を横目でちらりと確認した後、護身用の拳銃をホルスターに入れた。





「如何しても、弑さなくてはいけないのか?」


お人好しの彼が問うたので、私は肩を竦める。

正解である筈のその問い掛け、残念ながらマフィアとしては不正解である。




「うん、だって弑さ無ければ身内がやられるだけだからね。」


「………嗚呼、そうだな。お前が正しい。」

当たり前だと言う様に述べれば、向けられた視線と言葉にはほんの少しの嫌悪感。








「……お前は、自分の手で人を弑す事に罪の意識が無いんだな。」

その言葉に、私は漸く手を止めた。
振り向けば直ぐに彼と視線が合う。






「そうだね、今は(・・)これっぽっちも無い。」


「…今は?」




微笑みかければ、織田作の身体がぴくりと揺れる。

「うん。昔はあったよ。しかも、それが中々捨てられなくてね?辛くて辛くて、毎日の様に泣いていたなあ。」


「でも生憎、此処以外に私の居場所など無い。……ああ、どうしよう。このままでは、きっと可笑しくなってしまう。幼い私は自分を守る術を必至に考えました。」



そう、演技掛かった口調で言葉を紡いでゆく。

ねえねえ、どうしたと思う?



聞いてみても、彼はゆらゆらと瞳を揺らすだけで一向に答えようとはしなかった。仕方なく、私は正解を教えてやる。








「自分を調教したんだよ。人を傷付ける事で、快感を覚える様にね。」

彼が目を大きく見開いた。





「……なあんてね。冗談だよ、織田作。私はただの性格の悪い女だから。小さい頃からずっとこんな感じでさ?他人の不幸は蜜の味、ってね。」

「…A、」


「さてと、まだかかりそうだしお茶でも如何?」




笑いかければ、織田作は少しだけ怒った様な顔をした。

彼の気になる物→←珍しい客人



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ゆー - 初見です!すごくおもしろいです!!!更新頑張ってください!待ってます! (2018年5月17日 12時) (レス) id: bf6bf64614 (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - 碧さん» コメントと優しいお言葉をありがとうございます…!更新再開させて頂きました。良ければまた読んで頂けると嬉しいです…! (2017年12月11日 18時) (レス) id: 15f8ca2f69 (このIDを非表示/違反報告)
- いつも楽しく読ませていただいています。ゆっくりでも全然大丈夫ですから、体調に気をつけて頑張ってください!応援しています! (2017年11月27日 18時) (レス) id: 16d028813b (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - 天衣失格さん» ありがとうございます…その様にお褒め頂き恐縮です……!これからもこの小説をどうぞ宜しくお願い致します! (2017年11月18日 20時) (レス) id: 1989906b38 (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - マイさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さっているのですか……!更新頑張りますね! (2017年11月18日 20時) (レス) id: 1989906b38 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:じゅき | 作成日時:2017年11月12日 21時

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