さよならは突然に、 ページ14
「…安吾が消えた？」
朝早くに部屋を訪れた彼は開口一番、爆弾を投げて来た。表情を少しも動かさなかった私を褒めてほしい。…実際は、睡眠不足による表情筋の硬直も大きかったのだが。
虚空を見つめていれば太宰は少し苛立った様に問い掛ける。
「……ねえ、A。聞いてるの？」
「君が苛立ちを表情に出すなんて珍しいね。」
そう言えば彼は一瞬驚いた様な顔をした後、にっこりと完璧に計算され尽くした笑みを貼り付けた。…嫌味である。
「…ごめんって。安吾、昨日そんな嘘をついたんだね。」
「話聞いてはいたんだ。…それでね？昨日君に拷問を頼んだあの組織。どうやら今回の件と関係がありそうなのだよ。」
詳しく教えてくれない？と問いかける彼に私は引っかかり感じる。報告書を提出したのに、何故知らない様な口振りをするのだろう。
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探りを入れれば、彼はきょとんとした顔をした。
「嗚呼、見たよ。ミミックって言うんだってね。それで？」
「それで？って……」
質問の意味が汲み取れずに思わず復唱すれば、彼はにこりと笑った。
「書類に残せない様な内容だったんでしょう？だって、君が毒薬を外し忘れるなんて失敗をする筈が無いもの。」
「…！」
信頼、されているのだろうか。
でも何故だろう？彼の笑顔が怖ろしく感じるのは。
治に恐怖を抱いたのはこれが初めてだった。内容は喜ばしい筈なのに、身体が逃げろと悲鳴をあげる。
「…………失敗、したの。」
少し悩んだ後、私は散々
ふうん、と言って目を細めた彼はうっすら笑う。
「ねえA。君は、私に隠し事なんてしないよね？」
私はその言葉で漸く寒気の原因に気が付いた。
成る程、彼は私に疑いをかけていたのか。
「……疑われてる様だから正直に話すよ。私が行った時にはもう拷問が終わっていてね。」
「おや、それは私の部下が失礼。」
そう言った彼はホッとした様に笑う。それからコテンと首を傾げた。
「あーあ、君に迷惑をかけてしまうなんて。部下には後でたっぷりお灸を据えておくよ。…それにしても、庇ってあげるなんて優しいじゃない。」
「……こうなると思ったから庇っただけだよ…。」
「君は特別さ。なんたって�猴�達�瓩世�らね。」
何故か寒気がして、私はふるりと震えた。
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ゆー - 初見です！すごくおもしろいです！！！更新頑張ってください！待ってます！ (2018年5月17日 12時) (
レス) id: bf6bf64614 (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - 碧さん» コメントと優しいお言葉をありがとうございます…！更新再開させて頂きました。良ければまた読んで頂けると嬉しいです…！ (2017年12月11日 18時) (レス) id: 15f8ca2f69 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - いつも楽しく読ませていただいています。ゆっくりでも全然大丈夫ですから、体調に気をつけて頑張ってください！応援しています！ (2017年11月27日 18時) (レス) id: 16d028813b (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - 天衣失格さん» ありがとうございます…その様にお褒め頂き恐縮です……！これからもこの小説をどうぞ宜しくお願い致します！ (2017年11月18日 20時) (レス) id: 1989906b38 (このIDを非表示/違反報告)
じゅき(プロフ) - マイさん» コメントありがとうございます！楽しみにして下さっているのですか……！更新頑張りますね！ (2017年11月18日 20時) (レス) id: 1989906b38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じゅき | 作成日時：2017年11月12日 21時
