サディスト少女は今日も今日とて、【文豪ストレイドッグス】 (ページ26)

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第22話ページ26

くしゅん。

寒気がしたが、風邪だろうか？などと考えていれば、やっと彼らの背中が視界に入る。間に合って良かった。と少しの安堵。
小走りに駆け寄り、戸惑う新入りに良い事を教えてやるのだ。

「先輩からの助言だ。…考える事を止めろ。」

「…！Aさん…来てくれたんですか！」

そう言って目を輝かせる彼に微笑みを返せば、谷崎兄弟も此方を見やった。挨拶をしつつも不思議そうな顔をする彼らに、言葉を付け足す。

「新入りくんの初任務……心配だから来ちゃった」

ウインクをかませば兄は苦笑いをし、妹は嬉しそうに頬を緩ませた。

「此方です。」

樋口さんが口を開いたのは、その直後である。

キョロキョロと辺りを見回しながらも裏路地の奥へと入って行く後輩達。一人、樋口さんの後ろを歩いていれば、痺れを切らした彼女が振り向いた。

「貴女も、先に。」

「いやいや。もし後ろから敵が来たら貴女が危ないでしょう。ここ、袋小路ですよ？」

そう言えば、潤一郎君がそうなんですよね。と会話に混ざる。

「あの、本当に此処なんですか？ええと…」

「樋口です。」

無表情の彼女の言葉を受け、そうそう。と呟いた彼は続ける。

「樋口さん、無法者と言うのは臆病な連中なんです。捕り方がそっちから来たら逃げられ無い。彼等がそういう場所で取引をするとは思えません。」

さて、どう動くか。
そんな事を考えていれば、彼女は口角を上げ〝その通りです〟と呟いた。

そして間髪入れずに、私に蹴りを食らわす。
…随分と下手くそな蹴りだ。その場に留まる事も可能だったが、あえて地面を転がり距離を取る。何故なら相手は銃器持ち。近距離で立ちすくむのは危険だ。

…背後から聞こえた悲鳴については申し訳無かったが。

そんな事を考えながら適度な場所で止まれば、彼女の凜とした声が耳に入った。

「芥川先輩、」

声を聞き、此方に駆け寄って来ていた敦君の足が止まる。
気にせずに腕を振り上げて立ち上がれば、彼はハッとした様に私に声をかけた。

「大丈夫ですか⁉」

「うん。問題無い。何処も痛めて無いからね。」

言葉を返して敵を見やり、硬直。

何故なら。
彼女は、鞄に手を伸ばして…

「皆んな、来るぞ！物陰に隠れろ！！」

近くにいた敦君を射線から隠す為に物陰へと押しやる。それから、彼等を見やって息が止まった。

「待って…！」

「Aさん！早く！！」

敦君の手が、私の腕を引く。

直後、銃声。