サディスト少女は今日も今日とて、【文豪ストレイドッグス】 (ページ21)

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第17話ページ21

ガチャリ、と鍵のかかっていないドアを開ければ、静寂が広がる。

「…あれ？誰も居ない。」

幾ら何でも不用心過ぎやしないか？と思わず苦笑を零すも、丁度良いと言えば丁度良い。

国木田さんが居ない内にとせかせか監視カメラを外し、録音を停止させれば、もう殆ど証拠隠滅出来たと言えるだろう。

問題は此処からである。
さて、今観るか。自宅に帰ってゆっくり観るか…
そんな事を考えていると、ソファの上で何かが動いた気配を感じた。

「ら………乱歩さん？」

期待の篭ったような声が探偵社に響く。
しかし、彼女の問い掛けに返事が返ってくる事は無かった。

恐る恐る近付いてみて、溜め息。

「……寝てる。」

残念そうに呟いたAは、気持ち良さげに目蓋を閉じる彼にブランケットを掛け、枕元に菓子の入った袋を置いた。恐らく、これが正解な筈。

混ぜる事で色の変わる魔法のお菓子を買ってきて。

事前情報も無くそう伝えられ、彼の考えたなぞなぞの様な物なのだろうとばかり考えていたのだが…。
何の捻りもない、言葉通りの菓子が売られていた時は絶句した。

此れは本当に美味いのか？と。

「待って。」

私が扉に手を掛けると同時に、後ろからも声を掛けられる。振り向けば、既に起き上がって菓子の袋を開け始めている乱歩さんの姿が。

「今、君はこう考えた。このお菓子は本当に美味しいのだろうか？と。」

びくりと肩を揺らした私を見た彼は満足気に笑う。
それから、自分の隣をペシペシと軽く叩きながら言うのだ。

「おいで。特別に、Aにも分けてあげよう！」

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「…んん、甘い。」

着色料たっぷりの、身体に悪そうな色をしたそれは、一言で表すと〝甘すぎる〟

そして、あからさまに嫌な顔をしているであろう私の口に笑顔でスプーンを差し込んで来る彼は中々良い性格をしている様だった。

舌に纏わりつく甘ったるいそれに顔を顰めていると、徐に彼が口を開く。

「そういえば。今日はポートマフィアの彼奴と逢引？」

何故それを知っている。
思わず口に出そうになったその疑問を飲み込んで苦笑い。取り敢えず、はぐらかしてみようか。

「…なんの事やら。新入り君の服を買いに行っただけですよ。」

「ふうん、否定はしないんだ。別に説教なんてしないから、言えばいいのに。」

そう言って、肩を竦めた彼に此の誤魔化しが意味を成しているのかは疑問だが。