サディスト少女は今日も今日とて、【文豪ストレイドッグス】 (ページ3)

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第２話ページ3

…先に目を覚ましたのは、男性の方だった。
彼はいきなり目を開けたかと思えば、何の予備動作もなく起き上がる。

…思わず驚愕の声を上げてしまったが、取り敢えず最初にする事は一つだろう。

「あの…大丈夫ですか？」

そう問えば返ってきたのは如何にも平凡な内容だった。

「助かったか。…………………ちぇっ」

そう、至って普通の…って、え?

(今この人“ちぇっ”って言わなかったか!?)

・

……話を聞けば、彼はどうやら入水をしようと試みたそうなのだった。
邪魔をされた、だの。余計な事を…だのと何故か怒られている僕。

…え、ここは感謝される所じゃないのか？
というかこの女性は人の入水を見て笑っていたのか?…端正な顔をして、恐ろしすぎる。

そんな事を考えながら女性を見ていると、どうやらお小言が終わったらしい。
立ち上がった男性が………今度は自身の信条を語り出した。

…入水にクリーンも何も無いだろう、と内心ツッコミを入れる。
……その直後だった。唐突に僕の腹が大きな音を立てたのは。

無言で暫く見つめあう僕と男性。

「空腹かい？少年。」

そうクスリ、と笑いながら問われ、此れはチャンスだと判断した僕はここ数日何も口にしていない事を打ち明けようとしたのだが。

ぐうううう
という、僕に負けず劣らず大きな空腹時特有のそれに口を噤んだ。

「奇遇だね、私もだ。因みに財布も流された。」

「最悪だ!!!」

頭を抱えた僕を見ながらも尚、ニコニコと能天気に男は笑う。恨みがましい視線を送れば、何かを思い出したかの様にいきなりポンと手を打った。

「そうだ、彼女に払わせよう！彼女だって君に命を救われた者の一人なのだからね。」

そんな、何とも人任せな事を言い、男は美しい銀色の髪を持った女を起こそうと肩を揺さぶり始めるのだった。