第14話 ページ18
「覚えていないかも知れないが。先刻、中也は買い物に付き合うのならば対価が欲しいと言ったんだよ。」
「…まあ、俺なら言いかねないな。」
店に向かう途中、ふと。思い出した様に呟く彼女。
記憶がない(と彼女が思っているだけだが)相手に随分と律儀である。有難いが正直やめて欲しい。いい加減ボロが出そうだから話を掘り返さないでくれ。
そんな俺の心中など微塵も気付かずにAは続ける。
「こんなのは如何かな？君が寝ている間に書いてみたんだけど。」
そう言いながら手渡されたのは真っ白な封筒だった。何の変哲もなく、薄っぺらい�爐修讚瓩房鵑魴垢欧襦�
「…此れは何だ？」
興味本位で中身を透かして見ようとすれば、彼女に封筒を取り上げられてしまった。
「おっと。気になるなら私と逢引、だよ？」
「…中身が何かも分かっていないのに、俺の貴重な休日を手前とその紙に捧げろってか？莫迦じゃねェの？」
呆れ半分そう言えば、それもそうだ。なんて言いながら彼女はくつくつと笑い出す。
「信じるか信じないかは君次第ってね？」
そう言って俺に、にんまりと意地の悪そうな笑みを向けた彼女は、�爐泙◆�一応言っておくと�瓩帆庵屬�をした後、先程とはうって変わって真剣な表情を浮かべた。
「この中には、ちゃんと中也が喜ぶようなとびきりの報酬が入っている。そして、私の用事が済んだ暁には必ず君に封筒の中身をやると誓おう。この言葉に嘘は無い。そう、言うなれば此れは君と私の�猝鸞��瓩澄�」
その言葉を聞いた途端、俺は降参だとばかりに両手をあげた。
�猝鸞���
それは、本来ならば不確かな物かもしれない。
しかし彼女の口から発せられる�猝鸞��瓩�絶対的な意味を持つ事を、俺は長い付き合いから既に知っていたのだ。
私を信じて。そう言われている様で何となくむず痒く、思わず謝罪の言葉を零す。
「あー…疑って悪かったよ。分かった、付き合ってやる。その代わり、言葉通りの報酬を頼むぜ？」
そう言えば、彼女は少しだけ目を見開いた後、嬉しそうに微笑んだ。
「勿論。楽しみにしておいてくれ。」
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革ベルト
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作者名：じゅき | 作成日時：2016年6月29日 20時
