第1話 ページ2
僕の名前は中島敦。故あって……餓死寸前、という窮地に陥っていた。
ふと、先日の孤児院での記憶が蘇る。
……悔しい。絶対にこんな所で死ぬものか。
憎しみに支配された僕は、もう正常な判断など出来なくなっていた。
これは生きる為だ。
次に通りかかった者の財布を奪ってしまおう。
神様何てもの、信じてはいないが居たとしても許される行為だと、そう思った。
…だって、そいつにはきっと。金も、雨風を凌げる家も、………未来も、あるのだから。
目を閉じて。
そんな事を考えていると、背後…つまり川の方から人の気配を感じた。
いきなりの事に冷静さを保てず、慌てて振り返った僕は思わず硬直する。
誰だってその光景を見れば硬直するはずだ。何故なら……
川に上半身を突っ込み、溺れかけている男性と思われる者を、小さな木船に乗った少女がゲラゲラ笑いながら、写真に収めていたからだ。
……え。溺れてる人、脚しか見えてませんけど。女の人凄く楽しそう何ですけど。
………目を閉じろ、目を閉じろ僕…!
何も見なかった事にするんだ。これはノーカウント。…お願いだから今のはノーカンにさせてくれ!!!
冷や汗を垂らしながらも、未だに目を離せない僕は其れを直ぐに後悔をすることになった。
「…はは。」
ヤバいヤバいヤバい、女の人の方とガッツリ目が合った…!
暫くの沈黙。
「……あ。」
破ったのは、意外にも僕の方だった。
何故なら、
勢いよく傾いた小船があっと言う間に転覆したからである。
いきなり吹いた強風が小さな船のバランスを大きく崩したのだろう。
彼女までもが水の中に沈みこんでしまった。
……ちなみに、2人ともまだ水面に顔を出さない。
其れを見た僕は。…僕は、
・
「……ええい!!」
意を決して川の中へと入っていった。
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作者名:じゅき | 作成日時:2016年6月29日 20時