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「A、それがてめェの本気かァ?」
「っ、これからです」
全集中の呼吸を続けながら、何度も実弥さんに向かっていくも、攻撃を受けるのに精一杯だ。
「ぐ、っ…」
隙をつくように木刀を溝打ちに受けてしまい、よろけてバランスを崩してしまった。
そんな俺の顔面目掛けて実弥さんの木刀が伸びてくるのがやけにスローモーションに見える。
珍しく驚いた表情の実弥さんを最後に、俺は意識を飛ばしてしまった。
・・・・・・・
不死川 実弥 side...
「おい!!A!!」
顔には当たらねェ様に攻撃の調整はしていた筈だ。
あそこでAがバランスを崩したのは想定外だった。
普段ならAはあんな攻撃、軽々と避けて後ろから攻撃をしかけてくる。
倒れた拍子に後ろ頭をぶつけ、意識を失ったAの頬に出来た切り傷からゆっくりと血が流れ落ちた。
柔らかな宍色の髪を撫でて、傷口を押さえた。
やけに長い睫毛が白い肌に影を作っている。
何処か儚げで危うい雰囲気のAは、色が抜ける程の白い肌に血がよく映えていた。
俺が手荒く扱えば、砕け散ってしまいそうで怖い。
「し、不死川さん…大丈夫ですか?」
「……少し休憩だァ」
周りの隊員達が心配そうに尋ねてくる。
そんなこと気にも止めずに、俺はゆっくりと軽いAの体を持ち上げ、自室へと足を進めた。
・・・・・・・
「………ん…実弥、さん?」
目を覚ますと、見慣れた天井が最初に見えた。
何か違和感を感じ頭と顔に触れると、丁寧に巻かれた頭の包帯、頬にはガーゼが貼られていた。
「どうだ、気分は」
「手を煩わせてすみません、大丈夫です」
縁側に座る実弥さんは先程の休憩で残ったおはぎを口にしていた。
ああ、みっともない。
実弥さんとの稽古でこんなにもはやく失神してしまうなんて。
「頬、傷残んねェといいけどなァ」
「別に残ってもいいですよ?男に生まれたのならこのくらい大丈夫です」
実弥さんが傷口に優しく触れる。
ガーゼ越しでも伝わる温かい体温がこそばゆい。
次は必ず、最後まで相手出来るように訓練しないと。
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303(プロフ) - 実弥さんも夢主もめっちゃ好きです!不器用でとっても優しいところ可愛いすぎます(^^)これからも応援してます (2021年1月4日 4時) (レス) id: e43609f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり(プロフ) - やばい面白いですね(語彙力)めっちゃ好きです!! (2020年12月1日 14時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朝ギ | 作成日時:2020年11月1日 22時