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竈門 炭治郎 side...
「ねぇ、なにしてんの?」
ふわり、と微かに藤の花の匂いがした。
上から音もなく現れた見覚えのある狐面と、特徴的な一回り大きい羽織りを着用した人物。
「ぎゃあああ!また誰か来た!!」
「A!」
「御法度じゃないの?二人とも」
騒ぐ善逸を気にも止めず、狐面越しに俺と彼を威圧するAの気迫に空気が揺れる。
「俺の顔に文句でもあんのか……!?」
Aの醸し出す重い雰囲気を壊してくれたのは、頭突きの拍子に猪の被り物が取れてしまった彼だった。
その彼は、額から血を流しながら睨んでくる。
「君の顔に文句はない。こじんまりしていて色白でいいんじゃないかと思う!」
「殺すぞテメェ!かかってこい!」
「駄目だ、もうかかって行かない」
「もう一発頭突いてみろ!」
「もうしない!君はちょっと座れ、大丈夫か」
彼の言葉の返しは、意味がない様な気がしてならない。
どうやら喧嘩っ早い性格の彼をなんとか宥めたくて、座る様に促すも全く聞き耳を持ってくれなくて困る。
それだけではなく、怪我の具合も気になるのに。
「おいでこっぱち!俺の名を教えてやる、嘴平伊之助だ!覚えておけ!」
「どういう字を書くんだ」
「字!?じっ…俺は読み書きができねぇんだよ、名前はふんどしに書いてあるけどな…」
少したじろぐ伊之助が、話しの途中でピタリと動きを止めたかと思えば、そのまま目を回し泡を吹いて後ろに倒れてしまった。
力一杯、頭突きをしてしまったせいで脳震盪を起こした様だ。
そんな彼の体を無理に動かさず、着ていた羽織りを畳んで枕替わりに使用した。
「随分、楽しそうだね」
くすくすと小さく笑うAは、地面に座ったまま俺を見上げていた。
先程とは違う穏やかな雰囲気と匂いに安心する。
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303(プロフ) - 実弥さんも夢主もめっちゃ好きです!不器用でとっても優しいところ可愛いすぎます(^^)これからも応援してます (2021年1月4日 4時) (レス) id: e43609f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり(プロフ) - やばい面白いですね(語彙力)めっちゃ好きです!! (2020年12月1日 14時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朝ギ | 作成日時:2020年11月1日 22時