【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ47)

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林間合宿は赤点の人がいても、全員でいけるようだ。

相澤先生曰く〝合理的虚偽〟嬉しそうに騒ぐ補習組を見ながら、ちらりと焦凍に視線を移す。

先生たちの狙いは仲違いを正す為だったのかは定かではないが、一件のおかげで悪い夢を見なくなったのに…昨日のあの黒椿を見てから気分が悪い。

やっぱり焦凍とは距離を取るべきだ。彼を傷付けない為にも。

今でも彼の側にいると〝殺しそびれた〟と錯覚してしまう。

あまりにも鮮明な記憶と夢の中での焦凍は確かに死んでいたのに。

いや、違う…焦凍じゃなくて〝焦凍の姿〟をした犯人か。

本当にいつまでも僕を解放してくれない。

｢椿くんも一緒に買い物行かない？｣

｢行かない｣

緑谷くんがおずおずと尋ねてきたが、素っ気なく答える。

彼に酷いことを言ったはずなのに懲りずに話しかけてくる辺り、大した世話焼きだ。

なんで僕が仲良しごっこなんかに付き合わないといけないのか。

林間合宿だってきっと大部屋だ。最悪。

本当に林間合宿に行きたくない。それどころやないのに。

｢爆豪くんは仲良しこよしで買い物行かんの？｣

｢は？行かねぇよ｣

想像通りの言葉に安心した。

彼がみんなと一緒に買い物をする姿なんて想像出来ないし、彼には失礼かもしれないがそれは異様な光景だと思う。

・・・・・・・

｢あの事件のことを詳しく？｣

｢うん……知らんことばっかやから、向き合いたくて｣

仮眠室に向き合って座る僕と相澤先生。

あの事件以降、もう関わりたくなかったから逃げてきた。ニュースや雑誌、新聞に報道されていたがそれすらも視界にいれたくなかった。

それせいで僕は無知だ。

だが今のままで居てはまた同じことの繰り返し。

｢ヒーローの敵堕ち…前代未聞だったな。割と名の知れたヒーローだった。名取雫……ヒーロー名は〝ネームプランダー〟そのヒーロー名の通り〝名前を奪う〟個性だ。名前と顔さえ分かればその人物に化け、なりすませる。記憶も癖も話し方も分かるって言ってたな｣

だから気付けなかったんだ。

それは近所の人から始まり数学の先生、担任の教師、クラスメイトへと少しずつ迫った脅威。

最終的に犯人は当時、１番親しかった焦凍へと姿を変えた。

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