【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ35)

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｢そんだけ強ぇ個性なら自慢しろよ｣

｢自慢…ふふ、そうやね。ちなみに大太刀だけやないよ、銃や小刀、武器と呼ばれる物やらなんでも変えられる。掠ったらアウト、対象を消せる｣

椿は俺を見て小さく笑う。

初めて見るいつものような貼り付けた笑みではなく自然な笑顔。

自室にいることで安心しているのか校内で張っているピリッとした警戒心は見当たらない。

｢相変わらず面白いこと言うなぁ、爆豪くんは。君の言う通り…あまり変に気を張らないようにするわ｣

｢意外に気にしい奴だな｣

｢失礼やね｣

首を傾げる椿の朱色の髪がサラリと揺れる。

鼻を掠める独特な花の香りを感じながら、たまにはこんな日もいいかもなと窓の外に視線を移す。

帰り際に外まで見送ってくれた椿が〝あっ〟と声を漏らし、いったい何事かと後ろを振り返ると外出帰りの轟が立っていた。

｢おかえり、焦凍｣

なんで轟がこんな所に居るのかと椿に尋ねると彼はにんまりと笑って向かいの家を指差した。

｢なんでお前が椿んとこに｣

｢テメェに関係ねぇだろ、さっさと帰れ｣

ギロリと鋭く睨みつけてくる轟に苛立ちながらシッシッと犬を追いやる様に手であしらう。

何が気に食わないのか未だに威圧的に睨みつけてくる。

｢俺のことは突き放すくせに、爆豪とは家に招くような仲かよ｣

｢え？ヤキモチ？｣

あざとく笑みを浮かべながら首を傾げる椿に対して自分でようやく理解したのか轟の顔が一気に赤く染まる。

これには椿も驚いたようだった。

｢君もお邪魔する？｣

｢いい｣

ぶっきらぼうに答えた轟はそのまま早足で自宅へと帰って行った。

轟の姿が見えなくなるまで目であいつをずっと追っていた椿は少し寂しそうだった。

なんかこいつら…いつもギスギスしてんな。

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