【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ13)

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｢え？っ、うわ…っ！｣

椿くんは乱暴に僕の背中を蹴り飛ばして、脳無の胸元に手をかざす。

一瞬、眉をしかめた椿くんが手を離すと脳無は力なく地面に倒れた。

｢…………すごい｣

いったいどんな個性なのかは分からないが、あの脳無を一瞬で倒した椿くん。

死柄木弔も唖然と彼を見ている。

倒した、と安堵したが脳無がいきなりムクリと起き上がったことにより僕の期待は打ち砕かれた。

｢再生？確かに心臓を落としたはずやのに｣

｢へぇ……雄英にこれほどのガキがいるとはなぁ｣

〝心臓を落とした〟その言葉の意味は分からないが、恐らく椿くんの個性だろう。

再び脳無が僕に向かってくるが、突如に勢いよく扉が開いて見慣れた憧れの姿に僕は再び安堵した。

｢もう大丈夫、私が来た｣

オールマイトの顔は笑っているものの、雰囲気が重い。

生徒のみんなもオールマイトの姿に気付き嬉し涙を浮かべていた。一気に押し寄せる恐怖と不安から解放される。

｢あー………コンテニューだ｣

｢嫌な予感がしてね、校長のお話を振り切りやってきたよ。来る途中で飯田少年とすれ違って…何が起きているかあらまし聞いた。もう大丈夫！オールマイトォォ！私が来た！｣

｢待ったよヒーロー、社会のゴミめ｣

オールマイト…笑ってない！

NO.1のプロヒーローのその迫力にたじろぐ敵達だったが、凄い勢いで階段を飛ぶオールマイトはそのまま敵を容易くねじ伏せる。

倒れている相澤先生を肩に担ぎ、僕と梅雨ちゃん、峰田くんを救い出してくれた。

あまりにも速い動きに息を飲む。

｢助けるついでに殴られた…ははは、国家公認の暴力だ。さすがに速いや目で追えない。けれど思った程じゃない…やはり本当だったのかな…？弱ってるって話………｣

死柄木弔はなにやらぶつぶつと呟きながら落ちた掌を拾い上げて不気味に笑う。

ちらりと椿くんを見れば、退屈そうに小さな欠伸を零していた。

緊張感のない彼に驚いたが凛とした佇まいはなにやら余裕を感じるから不思議だ。

｢オールマイトだめです！あの脳ミソ敵！ワン…っ、僕の力が折れないくらいの力だけどビクとましなかった！きっとあいつ…｣

｢緑谷少年、大丈夫！｣

そう言ってオールマイトをいつものように力強く笑った。

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