【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ14)

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オールマイトが敵に向かって戦っている間に僕らは相澤先生を担いで出口へと急ぐ。

あのオールマイトの攻撃が全く効いていないようだった。

｢NO.1ヒーローは大変やね｣

人事のように呟く椿くんは、手を後ろに組んで全く手を貸す素振りは見せない。

口元に笑みを浮かべる彼はどこか楽しそうな表情をしていた。

｢そう言えば…椿くんの個性って、いったい…｣

｢僕は触れたもの何でも落とすことが出来る。神経、血液、心臓、個性、なんでも。落ちた物はどこに消えると思う？｣

椿くんは、やけに整った綺麗な顔を僕に近付けて冷たく笑う。

すっと僕の顔に手を伸ばす彼を見て背筋がぞくりとした。

そんな僕を見て彼はまた満足そうに、にんまりと笑い〝冗談や〟とゆったりとした口調で言う。

敵は〝殺す算段〟があるのかもしれない、それでも僕らは何を出来るでもないんだ。

むしろそうだ…人質にとられでもしたら足手まとい以外だ。敵への憶測より…オールマイトを信じるんだ…！

でも…でも知ってるんだ！

通学中は毎日リアルタイムのヒーローニュースを見てるんだ。

ここにオールマイトが居ないって話の時に13号先生がひっそりと立てた3本指はきっと活動限界のことだ。

きっと使いすぎたとかの話。

僕だけが、僕だけが知っている…秘密(ピンチ)。

皆がオールマイトに声援を送る中、皆とは真逆な考えが僕の頭を埋め尽くす。

「蛙ス…っ…ユちゃん！｣

｢頑張ってくれてるのね。なあに緑谷ちゃん｣

｢相澤先生担ぐの代わって…！｣

嫌だよ、オールマイト

教えてもらいたいことがまだ！山程あるんだ！！

｢君が行って何が出来るん？たいした個性でもないんやろ？｣

｢椿くん…確かに僕は超パワーだけど使った先からバッキバキになる…もろ刃の剣だけど…それでも見てるだけなんて嫌だ！｣

｢は？見てるだけが嫌？｣

椿くんは不思議そうに首を傾げる。

オールマイトの授業の時にかっちゃんに詰め寄った彼の話を周りから聞いたときに変な人だとは思っていたけど、なぜだかこの人が〝ヒーロー〟を志す人間とは思えない。

あまりにも端麗な顔に、目立つ容姿だと人気出そうなのにもったいない。

僕は椿くんの問いかけに答えることなく相澤先生を蛙吹さんに託して駆け出す。

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