【男主】落ちる様くらい綺麗に【僕のヒーローアカデミア】 (ページ2)

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「控えめな素晴らしさ」「気取らない優美さ」

「謙虚な美徳」

「完全なる美しさ」「申し分のない魅力」

「至上の愛らしさ」

随分と前から見慣れた容姿だけを見れば想像が出来るが、アイツの名と同じ花の花言葉からは全く想像も出来ない性格の悪さ。

見る分だけでは、まさにその花言葉そのものだ。

少しでも口を開けばそれは跡形もなく崩れ去るが。

思えば、昔からあの端麗な目立つ容姿とは正反対の性格だったが今程ではなかった。

ある日突如突き放され、当初は戸惑ったが今はもう慣れてしまった。

何かと縁があるのか、向かいに建つ和風の豪邸から同じ制服を着用したアイツが家から出てくることに驚いたが、あえて声はかけない。

一年くらい前に〝どこの高校を受けるの？〟と聞かれたときは久しぶりに話せたことに少し嬉しさを感じながら〝雄英〟と答えた。アイツは心底嫌そうな顔をしていたが何かあの時の会話と関係があるのかは分からない。

｢おはよう｣

今日はまだ少し肌寒い。俺に気付いたアイツが後ろを振り返り、少し京訛りのゆったりとした口調で言ったあとにんまりと満足そうに口角を上げていた。

｢まさかの雄英受かってしもた｣

｢〝まさか〟とは思ってねぇだろ｣

｢バレた？｣

柔らかそうな髪が風に靡く姿も様になる。いったい次は何を企んで雄英を受けたのか全く検討もつかない。

｢何で雄英受けたんって思ってる？｣

コイツはなんでもお見通し、と言わんばかりに俺の顔を覗き込んでくる。

｢しかもヒーロー科｣

俺が驚くことを想像していたのか、コイツは相変わらずニヤニヤと嫌に笑っている。

ヒーロー科？

昔からコイツはヒーローの類が嫌いだったはずだ。

その嫌いなヒーロー科ななんでわざわざ。

｢僕みたいなヒーロー嫌いがヒーロー目指すって面白すぎやん。そのまま裏切って敵にいくかもしれんね｣

｢馬鹿なこと言うな｣

相変わらず読めない奴。

〝面白い〟そんな理由でヒーローを目指すなんてことは流石に…

いや、コイツならやりかねない。

｢同じクラスやったらええねえ｣

｢嘘つけ｣

そんなこと、微塵も思ってないくせに。

コイツの言う事をまともに聞けば痛い目に会う。

なにがきっかけで冷たくなったのかは分からないが久々に言葉を交わせることは正直嬉しかった。

いつからこんな風に貼り付けた様な笑みを浮かべるようになってしまったのか。

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