【文スト】肆・ネットでマフィアの首領と友達になってた件

＊ ページ7

▽【アイデア】・【幸運】 85・80→80・16 成功

▲付与【身体強化】1D4＋db1d4 3 ＋3＝6 6倍

「一旦、黙ってろ、虫がァ！」

銃を投げ捨て、碧海は拳を叩き込んだ。用意した意味を考えたくはなるが、この相手では拳銃よりはショットガンの方が有能である。

碧海は異能力こそ戦闘向きではないが、これでも異能特務課のエージェントだった。それは勿論、武力行使が可能というわけであり、曉が記憶するには、かなり鍛えられていた。握力が少なくとも男子以上にあった。りんごを片手でクラッシュできるくらい。

その上で曉によって強化されている拳だ。賢治の全力とまではいかないが、それほどの威力があった。

大きな音と、劈くような虫の悲鳴をあげて、渦を巻くようにのたうち回る。その動きに化物は巻き込まれている。万々歳である。

「太宰ッ！気持ち悪いとかは置いておいて、触れ！」

国木田が叫ぶ。太宰は彼の催促に苦虫を噛み潰した表情をしたが、駆け出した。のたうち回ってはいたが、気づいたのか、直ぐに体勢を立て直そうとする意地汚い教祖ムカデに、賢治と敦が飛び出る。

賢治は倒壊した瓦礫を手に、敦は異能で虎化した腕をムカデの胴体に叩き込んだ。さらに痛みで身を踊らせた異形だったが、その間に距離を詰めていた太宰によって触れられる。

「異能力────『人間失格』」

白い眩い光が渦巻く。渦は、大ムカデを取り囲み、異能を剥いでいく。巨大化した図体は縮小していき、無数にあった集合体恐怖症の敵の手足は消え、四本の手足へと戻り、危うく与謝野による半殺しの恐怖を味わうことになりかけた凶悪な歯のあった頭部は消え、老人の顔が返ってきた。

べしゃりと老人は床に叩きつけられる。容赦ない打撃を喰らいすぎた高齢にしてはハッスルしすぎた男は、もう気力が残っていなかった。

「物部天獄、貴様を確保する」

手錠とかかれた紙を破り、異能力を発動していた国木田は物部の腕を拘束する。しかし、その折、異能力とは別に、まだ効力の聞いていた「ソレら」が国木田に向かって突進してきた。

「国木田さん！」

敦の叫びとともに、国木田は構える。しかし、怪物の腕に向けてぺしゃんと言う音ともにオレンジ色の液体がかかる。立て続けにかかっていくその液体に、目が沁みたらしい怪物は痛みに腕を抑えた。なんとも間抜けな光景だが、利用しない手はない。

「『独歩吟客』！」

＊→←折軸編-第五話-

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す