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「今回はありがとうございました」
座ったまま頭を下げる坂口に、曉は両手をせわしなく胸の前で動かした。
「礼をいわれるほどのことはしてないです。それに、ホラーゲームやTRPGみたいで楽しかったです」
「ぶっ倒れてたけどな」
碧海の容赦ない言葉に、曉はロストしたと項垂れる。嘆いているのは、最強が倒れた故である。
対面性の応接間で、坂口側ではなく、曉側に座った碧海は上司の前にも関わらず、自由奔放だった。坂口も碧海の行動には慣れているため、何も感じないし、何も言うこともなかった。
「ひとまず、異能者の木乃伊であったリョウメンスクナの回収はできませんでしたが、物部天獄の収容は出来、国家の不安の種は消えました。それにしても、謎の三名の人物。三人の内二人は異能者であると思われます」
坂口の告げる謎の三名。それは、曉が気絶した後の出来事だったらしく、あの後のリョウメンスクナとの闘いにおいて、かなり助けてもらったという。
「一人はわかりますが、もう一人はどうしてですか」
「碧海曰くリョウメンスクナの異能が太宰くんが触れていないにも関わらず発動しなかったケースが発生していたそうです。これに該当する異能がデータベースに記録されています」
坂口が出そうとした刹那、曉はこれまでのことを振り返って既視感を思い返した。ダイスがテーブルの上で転がった。彼のプロファイルを出す手が止まった。
▼【アイデア】85→78 成功
ふと脳裏に沸いた情報。ああ、そうだ。どうして気づかなかったのだろう。
「やばいかもしれません……」
坂口はまさかと、曉を見る。彼女はやや口元をひきつらせながら、坂口を見据えた。その様子に、碧海もあっと声を上げて、今回のことはと口走った。
「今回の話、リョウメンスクナの都市伝説を題材に、怪異症候群2や、様々な資料を使って───私が作ったものではなく、友人が作った、"母校の部活に寄贈した"シナリオの一つです。
これは、連作ものという、3部構成になっているシリーズ化した作品でして、今回の事件は、中盤の事件だったはずです」
嫌な沈黙が流れる。確かにそれは、忍び寄ってきていた。
坂口の膝上に置かれたプロファイルが風によって捲られる。それは、付箋が貼られたページで止まる。そこに書かれていた詳細は空白が多い。
共に挟まれた写真は黒髪のショートカットに、黒眼のど事なく見覚えのある顔つきの幼女だった。
最終記録の日付は、十年前を指している。
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黒井蜜柑(プロフ) - イレイザーさん» 了解です。いえ、こちらこそありがとうございます!なるべく!なるべく早く更新いたします! (2021年4月7日 17時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
イレイザー - 黒井蜜柑さん» そんな感じです!わざわざ返信まで…優しすぎて泣きそ((泣きます! ありがとうございます! (2021年4月7日 17時) (レス) id: 835185f078 (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - イレイザーさん» ありがとうございます!リクは募集してるので構いません!夢主の幼少期の写真をキャラ達とかが見る?みたいな感じ?ってことでしょうか……(想像がついてない) (2021年4月7日 15時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
イレイザー - めちゃくちゃ面白いです!頑張ってください!後夢主の幼い頃の写真を載せるっていうやつをやってほしいです。(リクエスト募集していたら、ですが) 応援してます! (2021年4月7日 15時) (レス) id: 835185f078 (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - アニヲタさん» そうなんですよね。賢治くん、本当最強で助かります…… (2021年3月2日 14時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒井蜜柑 | 作者ホームページ:http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時:2021年3月2日 12時