【文スト】続々・ネットでマフィアの首領と友達になってた件

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「次期候補なんて、持て囃さないでくれ。私は教団の為にただ動いているだけさ」

艶のいい漆のような黒の長髪をハーフアップにし、服も黒のスウェットに黒色の細身のパンツといったスタイルの良さが分かりやすく伝えられる全身黒ずくめの怪しい男は肩を竦める。

「今日はイズさんは一緒じゃ？」

碧海が彼の隣を見て首を傾げる。それに、藤白は顔色一つ変えずに苦笑いを浮かべた。わざとらしい笑みだと思った。

「いつも一緒に行動しているというわけではないよ？一応、イズも来ているけど、別の団員と話していてね。そういう君こそ、彼女は一緒じゃないのかい？」

ここでいう彼女は、曉のことだ。鋭いなと与謝野は舌を巻いた。そこで、太宰の出番だった。

「彼女は少し遅れてくるそうでね。なにやら、素晴らしい呪文を見つけたとかなんだとか。それよりも、はじめまして、田中です」

人のいい笑顔を浮かべて、右手を差し出した太宰。ありきたりすぎる偽名だが、ひとまず接触と信頼を手に入れる必要がある。因みにこれは、曉について、聞かれたときに決めていた"ハッタリ"であり、深堀されてもいいように色々と太宰と曉、江戸川の合同での考案である。

「おや、それは楽しみだ。彼女は、前回会った時も面白いものを持ってきていたからね」

信用の合否が分かりづらい胡散臭い笑顔。それよりも、まず。何を持ってきたんだ、曉(アイツ)と全員がツッコミたくなった。碧海もそれは含まれている。

「まぁ、ふふ。──歓迎するよ、友人(・・)として」

見掛けだけの笑顔に、太宰は同じ穴の狢であることをすぐに、いや、最初から理解はしていた。だが、再認識した。

高田と同種だ。だが、高田よりも質が悪い。

──嫌なの引き当てたか。



ちなみに、後日のこと。幹部候補(その強運)を引き当てたのは曉だと聞いた。もうお前は一般人じゃない。一般人を名乗るな。

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