thirtytwo ページ34
『……〜♪』
此方に気付いていないのか
岩に腰かけている少女は歌い続ける
だが一方で寮長達はその少女の姿に目を奪われていた
幼い容姿に反する大人びたオーラ
外からほんのり差す月明かりに照らされた亜麻色の長い髪に何処か遠くを見つめているようなルビーの瞳
そして先程から歌っているその声はまるで水のように透き通っていた
そんな中で匂いに対して違和感を抱いたレオナは思った
「(このガキ…一体何者だ)
おい」
『！！』
「そこで何してるんだ」
此方に気付いた少女は目を丸くして歌うのをやめた
正面から見ると少女の容姿がはっきりと見えて改めて綺麗な子だと彼らは実感する
寮長達は少女に近付く
対して少女は後ろへと退く
「そんなに怖がんなくて良いぞ！
俺達、お前の声が聞こえて気になって来てみただけなんだ！
にしてもすげぇ歌上手いな！
名前、何て言うんだ？」
『！え、えっと…』
カリムのマシンガントークに少女は臆する一方
…本当は一気に話されてる事に恐れている訳ではないが
「待つんだカリム
そんな一気に質問しても困るだけだろう
…すまないね
ところで君は一体何処から来たんだい？」
リドルがフォローに入るも少女のたじたじな様子は変わらず
「もしかして迷子ですか？」
アズールが問い掛けても俯いたままだ
少女がようやく顔を上げたと思えば目の前の光景に彼らは驚愕した
「身体が透けてる…！？」
「お前…一体何モンだ」
『それだけは言えない
私は姿を見られるといけない存在なの』
少女の言葉に寮長達は黙り込み考える
姿を見られてはいけない存在
それが一体何なのか彼らには分からなかった
「待ってくれ！せめて名前だけでも教えてくれ！」
カリムがそう叫ぶも少女は首を横に振る
『ごめんなさい、名前を一番教えたくないの
…でもありがとう
私の歌を褒めてくれて』
“それじゃあさよなら”
それだけ言って少女は姿を消した
洞穴は静寂に包まれる
「結局何だったんだあいつ…」
「よく分かりませんが不思議な方でしたね」
「あぁ…只の子供ではなさそうだ」
「？どうしたんだヴィル？」
「いえ、ちょっとね…」
「……」
(あの子…何処かで見た事あるのよね)
(拙者の記憶が正しければさっきの女子、
魔法史で出てきたA・エルジェーベトと同じ容姿してた
気のせいかもしんないけど)
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風蘭doll(プロフ) - 晏昊さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けると嬉しいです！ (2022年6月19日 23時) (
レス) id: 808d0b023c (このIDを非表示/違反報告)
晏昊 - エリザベート,バートリ,エルジェーベドが、大好きなのでめっちゃうれしいです！応援してます！ (2022年6月19日 23時) (レス) @page1 id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風蘭doll | 作者ホームページ：http://flandoll'scollections
作成日時：2020年8月10日 17時
