【dtnb】これはきっと運命だ。

Story.14 ページ16

nb side.

　今日は、例の雑誌撮影の日。カメラマンさんもどこか人懐っこそうな関西弁の人で、俺にしては緊張せずに撮影できている方だと思う。

　そんな雑誌撮影の合間。俺は、楽屋でスマホを耳に当てていた。
『えーっと、次のお仕事なんですが……』
　珍しく「電話でお伝えしたい」というマネージャーの言葉により、今日はメールではなく電話でこうやってやり取りしているわけなんだ、けど……

「……何か過酷なやつ、ってこと？」
　そう訊くと、『まあ、間違ってはないですかね…』と言葉を濁される。……どういう仕事？アウトドア系とか？
「あー、俺そろそろ撮影再開なんだよね、できれば早く言ってくれる？」

　いっこうに仕事を口にしないマネージャーに対し、少し苛立ち紛れに言うと、マネージャーは『NG無し、と社長から言われてるんですが……』と困ったように言った。
『連続ドラマの撮影、渡辺さんは競泳選手の設定だそうです』
　……なるほど、確かに体作りが大変そうだ。

　もらった仕事は、端的に説明すればスポーツマネジメント会社の社員が主人公で、その主人公が担当するスポーツ選手の一人が俺なんだそう。一話限定のゲストではあるものの、結構出番はあるし、物語の後半で登場するキーマンなんだとか。

『というわけで、体作りをしてもらわないといけないんですが……どうですか、できそうですか？』
「いや、NG無しなんでしょ？ならやらないわけにはいかないじゃん」
　電話の向こうで、安心したようなマネージャーの吐息が漏れる。それじゃ、と言って俺は電話を切った。

Story.15→←Story.13

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す