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( ﾏﾂｸﾗ
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バイトの上がり時間が一緒だったから、一杯だけ、と決めて同僚の彼女と飲みに出た。
ちょっとだけ小洒落たイタリアンの店にいた後だから、駅前の手頃で雑多な居酒屋が妙に落ち着く。
そういう感覚は同じ仕事をしている彼女も同じのようで、その居酒屋は、ふたりで寄り道したい日の定番になった。
ちょうど一杯だけ飲んで、話して。
少しゆっくり過ごしているうちに、終電の時間になる。
一日の終わりを過ごすパートナーとして彼女は申し分なくて、一緒に過ごす時間は、俺の仕事の疲れや緊張感を癒してくれた。
好かれてる、っていう安心感もあるのかもしれないけど。
「あ、このワイン入ったんだぁ」
メニューに目を通していた彼女が、ひとりごとのように呟いた。
「ワイン？」
「うん。うちでは取らなかったやつだよね？」
メニューを見せてもらうと、彼女の言う通り、見覚えのある銘柄の写真と『新入荷』の文字があった。
元太がガバガバ飲んでいたワインが、確かこれだったような気がする。
そういえば、あいつの大事な試合はもうすぐだ。
契約が決まったら、またこれを腹一杯飲ませてあげようか。
ここで見かけたのも何かのご縁だし、今夜の一杯はそのワインにすることにした。
「俺の後輩の.......あ、試飲会にも来てた、元太ってやつなんだけど」
「あの元気のいいイケメンくん？」
「そうそう。その元太がうちの大学のサッカー部でさ、今度試合があるんだけど」
「うん」
「一緒に見に行かない？」
「え......？」
彼女は猜疑心に溢れた目を俺に向けてきた。
「......行っていいの？」
「うん。実はさ、あいつ、今プロチームのスカウトから声がかかってて」
「えっ、すごいね」
「で、そこの契約もらうために、その試合がめちゃくちゃ大事らしくて。絶対点取りたいから、たくさんの人に応援してもらいたいって言ってるの」
「そっか......それは一大事だね。でも......」
ひと通り説明し終えた後なら即答してくれると思っていたのに、彼女の顔はなんだか冴えない。
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えみゅ(プロフ) - ターンカッピさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです☆これからも引き続きよろしくお願いします。 (2023年2月22日 12時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ターンカッピ(プロフ) - つい最近読み始めて最新話まで一気読みしたのですが、えみゅさんの文章の書き方が読みやすくて好きです(*´∀｀*) (2023年2月22日 2時) (レス) @page31 id: 9f8ba39594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えみゅ | 作成日時：2023年2月7日 22時
