宮ンズの幼馴染＃2 (ページ10)

今日:24 hit、昨日:109 hit、合計:102,276 hit

1つの ① ページ10

スローモーションみたいに、それは映って

「サム！」

嗅ぎなれた匂い
照明が照らす金と銀
ゴム底が、音を鳴らして
まるで「飛べ」って、言うてるように

「オイ！」

「治！」

練習試合中やった。

新入生も含めて、いろんなパターンを試してたんやと思う。

見たことない子もいっぱいおったし
ワクワクするようなセットもたくさんあった。

挑戦するなら失敗してなんぼや。

でも、

「オイ平気なんやったらさっさ立てや！」

「うっさいねんお前の声頭に響くわ」

接触した。

新入生の子と、治がプレー中に接触して
私にはそれがスローモーションみたいで
いつも双子を味方したり、たまに意地悪する床に、治が倒れるんを見た。

「大事とって一回保健室行ってこい」

「うす」

ゆっくり立ち上がる治

泣きそうな顔して謝る1年生に、笑って
侑が珍しく静かに治を見送るから、「心配するんやったら素直にせえや」って言えば
「ハァ？！誰がお前に心配なんざするか！」て、侑が言うて

コートから、出た。

「お、さ」

手にじっとり汗をかく

私に気づいた治と目が合う
ふ、と笑って口パクで「平気やで」って言うから
その言葉を信じるしかなかった。