宮ンズの幼馴染＃2 (ページ19)

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1つの ⑩ ページ19

Side 治

「…なんやねん」

「…いらんねやったら俺が食う」

「誰もいらん言うてへんし」

ツムが帰ってきた。
プリン片手に。

「Aは？」

「送った」

「泣かしてへんやろな」

「当たり前じゃ」

「お前、Aにはとことん甘いもんなぁ」

「何いまさら。サムかてそうやん」

多分、自分で自覚してへんやろけど
普段の「人でなし」の侑を知ってるバレー部のやつらは、その温度差に割と引いてる。

同い年のやつらはさすがに慣れたみたいやけど。

「お前、あの子にもなんか奢ったれや」

「誰やねん」

「後輩の子。Aに惚れとる」

「…あー…」

「ツムと会うたあと、顔真っ青にして歩いとったで」

「…おん」

頭ガシガシして、目線を下に向けるツム。

「…ダサいです、って言われてん」

「ふっ」

「笑うなやクソサム！」

「肝据わっとるなぁ。あの子にAが惚れんでよかったわ」

「あ？そんなん当たり前やろ俺らおるし」

「お前のその絶対的な自信なんなん」

A治のこと大事やって言うてた
Aやから庇われたんムカついとったんやって

「…ふっふ」

「あ？なんやねん…」

「別に。ツムがな」

「おん」

「俺のこと大好きなんやなぁ、思っただけや」

「……ハァ？！」

「うるっさ。照れすぎやろ」

「誰がお前んこと大好きや言うてん！」

「見とったら分かる」

「勘違いもほどほどにせぇよ！」

「？ほな俺んこと好きやないん？」

「なっ」

双子

俺らからしたら何も特別やないし、珍しくもない

「べ、つに」

「なんやねん」

「…嫌いとは言うてへんし」

「俺はたまに思う」

「なんやねんお前！俺の純情弄ぶな！」

「純情なんてもんお前にあるわけないやろ」

「なんやと？！」

ただ、もともと1つやって
たまたま2つに生まれて
今こうして、同じ時を生きとるだけ。

「ツム」

「なんやねん！」

「ウイイレしよ」

「…するけど！」