宮ンズの幼馴染＃2 (ページ12)

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1つの ③ ページ12

ズカズカ歩いて
治の胸元をガッと掴み上げる

「俺がいつお前に頼んだ？」

「なんやねんいきなり」

いつになく冷静な声で、二人は言う

「誰が怪我してよかったって？」

「何が言いたいねん」

「ただでさえ時間あらへんのに何をぬかしたこと言うとんねん」

「怪我はつきもんやろ。そない時間かかる怪我でもないし」

「あ？その時間で何ができるか分かっとんのか？」

「うっさ。離せや」

ヒートアップ、していく

治も侑の胸元を掴んで
睨んで
言葉を浴びせて

「2人とも保健室でやめえや」

私の声は、届かん

「だいたい1年に接触されたくらいで怪我すんなや弱っちいねん！」

「んな腹立てるんやったら放っとけや！」

「もっと悔しがれや！1分1秒でも長く！バレーできるチャンス逃すな！」

「お前に俺の何が分かんねん！」

ああもうあかん

見慣れた喧嘩
いつもなら勝手に終わる、しょうもない喧嘩

でも今は、この時間は
きっとお互いにお互いのことを思いすぎて、衝突しとる。

「侑も治も、1回落ち着…」

落ち着きや、って
侑の腕を抑えようとした。

けど、

「…っ」

治に振りかざそうとした手
タイミング悪く、私に当たって
鈍い痛みが走る

「…お、まえ」

よろけた身体
次に聞こえたんは、治の声

「ええ加減にせえや。付き合いきれんわ」

離れんで

残り少ない双子のバレーボール
憑りつかれた双子

離れた、あかんのに。

「A行こ」

「あ、つむ『放っとき』」

治に背中を押されて、保健室から出る瞬間
夕日に照らされた侑は、どんな顔しとったんか分からんかった。