16話 ページ16
(メルルside)
リサは昔の女によく似ていた。
あいつはぶっ飛んだ頭をしてて、俺よりイカれてやがった。
よく2人で薬でハイになってたが、まぁいい女だった。
俺はそんなあいつを心底好きだった。
だがしょうもない女との浮気現場を見られちまった。
どうせそれでもあいつは俺から離れていかないと高を括っていたが、予想は外れて。
あいつは俺を軽蔑した目で見ながら別れを告げていった。
何年も前の事だから、正直もう忘れたと思ってた。
だがあの日。
リサを見つけた日。
リサを見た瞬間、あいつに似てると思った。
声も顔も、そっくりって訳じゃない。
むしろ、東洋系の顔のせいかガキみたいな見てくれで、身体つきも色気もクソもない。
だが、目が似てる。
あいつと同じような綺麗な茶色の目をしてた。
その日から、俺はリサと一緒に過ごすうちに、ペットでも飼ったかのような気持ちになっていた。
危なっかしくて目も離せない。
弱っちいから役にも立たない。
だが、俺の後をベッタリ引っ付いてきて、俺の言いつけを従順に守るリサの行動は、俺の気分を良くしていた。
いつしか俺は勘違いを起こしていた。
リサは俺に惚れてるんじゃないかって。
今いるキャンプに合流してからというもの、俺のクソみたいな発言で場の空気が悪くなったことが数え切れないほどあった。
その度に、リサは臆する事なく俺を叱って、そんでもって場を和ませた。
俺はリサと居れば少しはまともに慣れた気がした。
そして気付いた。
俺がリサを守っているのは、目が離せないのは、俺がリサに惚れてるからだと。
そしてそれは、昔の女に似ているからなんて理由じゃないことを。
そもそも最初にこいつを見つけた日、あいつに似てるから拾ったと思っていた。
だがそれも違かった。
俺は最初から、リサ自身を見ていた。
昔の女の亡霊なんかじゃなく、リサに対して一目見た時から好意を抱いていた。
そう気付いた時から、俺はアホみたいな男に成り下がった。
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ぺろ - 続きを楽しみにしてます (2022年7月15日 19時) (レス) @page25 id: 1cd0628146 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aaa | 作成日時:2021年1月17日 12時