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「はぁ」
りっちゃんと並んで下校しながらちょっとだけため息をついてしまう。
「A元気ないね。もしかして学級委員長になったの嫌だった？」
「嫌ってほどでもないのだけど…」
りっちゃんの言う通り私のため息の原因は、学級委員長になってしまったこと。
やる気は全くなかったけれど、帰り際の二宮先生の一声で私に決まってしまった。
「とりあえず学級委員長だけ決めとくか。正直に言って俺はお前達の顔と名前が一致してない。面倒だし一人だけはっきり分かるやつがいるからそいつで良いだろ」
先生のその言葉にすごく嫌な予感がする。
「立花？お前の事言ってるんだけど」
先生が口にした私の名前に、周囲の視線がざあっと一斉にこちらを向いていたたまれない気持ちになる。
委員長の仕事自体は説明を聞く限りそこまで大変そうじゃない。
私が嫌なのは学生生活で目立つこと。
それも新入生代表で挨拶をしてしまってるから今更どうしようもないわけで。
しかもこんな指され方したらますます断れない。
「……わかりました。精一杯やらせていただきます」
諦めて頷くと先生が満足げに笑う。
「よし決まり！じゃあ解散。 また明日」
それだけ言うとさっさと二宮先生はクラスから出ていってしまった。
委員長を押し付けられた一連の流れを思い出すとまたため息が出る。
「…憂鬱だわ」
「まあまあ。イケメンの先生と一緒にいられるなんて良くない？」
「委員長の仕事自体は嫌じゃないけど、あの先生は人使い荒そうで」
「そう？まぁ大変そうだったら私も手伝うから！」
「ありがとう。じゃあまた明日」
「うん！またね」
りっちゃんと別れてから帰り道の途中にあるあの公園を覗いてみた。
また金髪の彼に会えないかな、なんて。
でもやっぱり彼の姿は見当たらなかった。
家に帰ってからもそのがっかりは消えなくて。
「またね、って言ったくせに」
予習をしながらついつい漏れたのはそんな一言。
あれ、なんで私こんなに不満なんだろう。
一度しか会ってない彼のことは名前すら知らないのに。
そんな彼に言われた一言とあの姿が忘れられなくて、って大丈夫かな私。
今まで出会ったことのない、初めての状況に自分でも戸惑ってしまう。
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作者名：紫苑
| 作成日時：2020年6月30日 23時
