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「Aさんはピアス開けてないよね？」
「はい」
松本さんの質問に耳たぶを引っ張って見せる。
金属アレルギー持ちなのでピアスは開ける気無いんだよね。
「服はサイズも色の好みも違うし。私のじゃないことは確定なんですけど」
話している間に段々暗い気分になってきて声も目線も低くなってしまう。
「ピアスは翔さんのかもね」
目線を下げて俯いた私に松本さんが明るく声をかけてくれる、が。
「……パールのついた大きめのですよ？」
「ごめん。それはさすがに着けないと思う」
「女装が趣味とか…？」
「俺の知ってる限りそれは無い」
変な想像するのやめてあげてね、と優しく諭されてしまう。
「…じゃあ、あれは何なんですか」
その日は動転した私が翔さんの家から帰ってしまい、話をすることもできなかった。
メールや電話で聞くのは彼の表情が見えないから嫌で、あまり乗り気で無いながらもこうしてまた翔さんの家に向かっている。
「翔さんってすごく忙しいじゃないですか」
「うん。めちゃ忙しい人だよ」
「だから私以外の女の人とも会ってるっていうのは考えづらいんですよ」
一瞬松本さんは何か言いたそうだったけれど、開きかけた口を閉じてしまう。
これは自惚れでも何でもなくって単なる事実の確認。
だからきっと私の考えは当たっていて、あの人の秘書をしている松本さんなら同意してくれるだろうと思ったんだけど。
松本さんが黙ったままだからどうやら違うのかもしれないと急に不安になってくる。
そういえば結局最初にした質問にも答えてもらってないし。
意地悪な言い方をすると松本さんは翔さんの秘書だから彼の味方。
気にかけてくれているとは言え私の味方でいてくれるわけじゃないのかもしれない。
もしかして私は気が付かない方が良い事に気付いてしまったんだろうか。
「やっぱり今のなしで。忘れてください」
不安と疑心でずうんと重苦しくなったのを隠して笑顔を貼り付ける。
「確かに翔さんは仕事は厳しいしエグいことも平気でやる」
長い間黙っていた松本さんが考え考え言葉を口にする。
「でもAさんに対しては誠実でいようと努力してるみたいだから、そこは信じてあげて」
「…はい」
納得したわけじゃない。
でも迷いながら言葉を選ぶようにして喋る松本さんの顔は嘘をついているようには見えなくて、その表情に免じてとりあえず頷いてあげる。
松本さんに探りを入れるんじゃなくて翔さんにきちんと聞こう。
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紫苑(プロフ) - りえさん» リクエストありがとうございます。『ハラグロなふたり』の続きですね。鋭意創作中ですので今しばらくお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (
レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます。赤菊の君の人気ぶりにびっくりしてました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ゆっこさん» リクエストありがとうございます。潤くん視点のお話書かせていただきました！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - mihoさん» リクエストありがとうございます。Lapis lazuliの続きですね！承知しました。ただいま創作中ですのでしばしお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - るきさん» リクエストありがとうございます。『赤菊』の翔さんサイドを書かせていただきました！大野さんのお話はもうしばらくお待ちくださいね。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2017年1月23日 20時
