3. 6/17更新 ページ20
そうして決戦の水曜日。
ケーキとプレゼントを携えた私はカズさんの部屋の前に立っている。
この部屋に来るのはまだ付き合う前にカズさんが風邪をひいた時以来。
思えばあの時初めて大野さんに会って、それから色々と動き出したんだっけ。
今考えるとどうしてあの時は何も考えずに入れたんだろう。
体調を崩してたカズさんが心配だったというのもあるけれど、関係が変わったからこそ怖いのかも。
ふうっと最後に一つ大きく息を吐いてインターホンを鳴らす。
『はい？』
「Aです」
『今出れないから入ってきて』
招き入れてもらうのではなく、私がドアを開けて中に入らなければいけないの？
あくまでも私の意思で入ることしか許してくれない彼の意地悪さに心が折れそう。
ここまで来るのにだって相当な勇気がいったのに。
「…よし、女は度胸。行くわよ」
もうこれ以上無いって程に勇気をかき集めてドアノブを握った。
「お邪魔します。カズさん？」
玄関から入ってリビングを見渡して人の影を探す。
とりあえずケーキを置こうとキッチンを覗いて息が止まった。
キッチンに、カズさんじゃない人が立っている。
どきんとしたのは一瞬、直ぐにその背中から相手は男性だと気づいて肩の力が抜ける。
「あの、」
「ああ！ごめんなさい」
うわ、彫刻みたい。
振り返った男性にまず抱いた印象はそんな一言。
芸能人を見慣れた私でも思わずそう思ってしまうぐらいの美形。
私が知らない人ってことは少なくとも俳優さんじゃない。モデルさんかな？
「ええと、はじめまして」
「…はい！初めまして」
考えていたせいで少しだけ反応が遅れた私を見て彼がふっと笑う。
「和の知り合いの松本と言います。Aさんですよね？いつもテレビで拝見しています」
「あ、ありがとうございます。ええと、カズさんの知り合いというと」
「うん。大学からの友人」
「…あっ、なるほど」
あれか、いつもカズさんの話に登場するあの四人のうちのお一人なのね。
一人は大野さんってことは知ってる。
残りは確か大学の先生と飲食業の人が二人……じゃあ一般人？
ええ？嘘だって。
「すっごく目を引くお顔立ちされてますけど、松本さんご職業は何を…？」
「ああ、聞いたことあるかもしれないけどカフェ経営してます」
はい、と渡された名刺をしげしげと眺める。
半信半疑で聞いてみたけどやっぱり一般人だって！
こんな人普通に歩いてたら目立つだろうな。
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紫苑(プロフ) - りえさん» リクエストありがとうございます。『ハラグロなふたり』の続きですね。鋭意創作中ですので今しばらくお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (
レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます。赤菊の君の人気ぶりにびっくりしてました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ゆっこさん» リクエストありがとうございます。潤くん視点のお話書かせていただきました！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - mihoさん» リクエストありがとうございます。Lapis lazuliの続きですね！承知しました。ただいま創作中ですのでしばしお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - るきさん» リクエストありがとうございます。『赤菊』の翔さんサイドを書かせていただきました！大野さんのお話はもうしばらくお待ちくださいね。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2017年1月23日 20時
