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「え？」
「聞いて、つったからお前の話は聞いた。だから今度は俺の番」
「いやでも…」
さっき私のヨカナーンにはなれないって言ったじゃない。
あれが答えじゃないの？
カズさんは戸惑う私をバカにするように笑う。
だけどその瞳に宿っているのは、どうして？と問いたくなるような優しい色。
「首じゃあお前に愛を囁けないし、キスも返せない。胴体と繋がってなきゃデートだってできないな」
何言ってるの？
それじゃあまるで
「ヨカナーンにはなれないってのはそういうこと。今までお前がくれてた愛情、俺にも返させてよ」
まるで、私のことが好きみたいな言い方じゃない。
「カズさん自分が何言ってるか分かってる？」
「分かってる。そこまで耄碌してねぇわ」
「だって、カズさんの言い方だと私のことが好きみたいに思っちゃう」
「だから！好きだって」
「……妹みたいに思ってるとか言うんでしょどうせ」
「言わねえって。言葉のまんまだよ。一人の女としてお前が好きなの」
「嘘だ」
頑なに信じられない、信じようとしない私の頭をカズさんが鷲掴みにする。
「っとにお前は頑固だな！素直に俺の言うこと信じてればいいんだよ」
「だって…」
私だって信じられるものなら信じたい。
でもそれが出来ないのは、長年別の人相手に彼が片想いしてきた様子をずっと側で見てきたからで。
その気持ちがこんなに直ぐに、しかも私に都合の良い様に変化するなんてありえない。
「言ったろ？お前のことすっごく考えたって。頭から湯気が出るくらい考えたよ」
こんな時でも挟まれる軽口にくすっとなって頑なな気持ちがほぐれていく。
「俺だけがツライような気でいたけど、ずっとお前は俺の側にいてくれた。もっと自分を大事にしろって怒ってくれた。何より、他の誰でもなく俺に求めて欲しかったって言われたのが決定的だった」
勢いだけでぶつけた言葉を蒸し返されて、羞恥でかあっと頬が赤くなる。
「あんな熱烈な口説き文句言われたら惚れて当然だろ」
「ほ、惚れるって」
バカじゃないのと茶化したくても彼の真剣な表情がそれをさせてくれない。
「これからずっとお前だけ見てたいと思ってる」
「本当に…信じていいの？」
恐る恐る彼の服を掴む。
「うん」
服じゃなくてこっち、と彼の背中に手を移されて自然と抱きついた形になる。
彼の瞳に私が映っている。
それだけでもう泣けるほど嬉しくて。
やっと片想いの呪縛から解き放たれた気がした。
*fin*
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紫苑(プロフ) - yukidarumakunさん» あとがきにも追記しましたが、この二人のその後を短編で書き始めました。ぜひ覗いてみてくださいね。 (2020年6月7日 16時) (
レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
yukidarumakun(プロフ) - ものすごく楽しみです！またこの2人に会えるのを楽しみに日々の生活頑張ります。こんな時期ですので御無理のないよう創作して下さいね。 (2020年6月6日 19時) (レス) id: b586aa50e6 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - yukidarumakunさん» 労いのお言葉ありがとうございます。この後の二人については少し考えていることがあるので楽しみに待っていてください！続きを書いた時にはまたこちらでお知らせしますね。 (2020年6月4日 12時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
yukidarumakun(プロフ) - 完結お疲れ様でした。この後の2人も見たいですね。また、いつか続編読ませて頂ける日を楽しみたいしています。 (2020年5月31日 19時) (レス) id: b586aa50e6 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» コメントありがとうございます。楽しみと言って頂けて嬉しいです。更新頑張りますね！ (2020年5月26日 23時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2016年12月14日 22時
