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「ふわぁぁ、ふぅ。あ、韋颯おはよう!」
『おはよう、愛藍。ふふ、大きなあくびで、うつっちゃいそう……ふわぁ……』




思わず手で口を隠し、あくびをする。
するとあくびをした後特有の涙目の彼女と目が合い、思わずちょっと笑ってしまう。




***





『本日は園遊会の準備をせねばなりませぬね、玉葉さま』
「あら、もうそんな時期なのね」
『はい、本来であれば冬の園遊会は徳妃さま、淑妃さまのみのご参加ですし、寒い冬の園遊会には慣れませぬが、今回は公主さまの御披露目も兼ねますゆえ張り切らないと、ですからね』
「ええ、飾りはどうしましょうか、胡服は以前と同じ型のものでもいいけれど、飾りは変えないとよね」





玉葉さまは自分の持っている飾りなどを見ながらそう言う。





『簪は翡翠を……花簪をお付けになりますか?華やかな玉葉さまにはよくお似合いになるでしょう』
「あら、花簪?それなら……薔薇はどうかしら」
『薔薇、ですか?ですが時期には……椿はいかがですか?』

「椿もいいわ、けれどあえて華やかな、春を呼ぶ薔薇や、牡丹もいいと思うの。華やかさで選ぶなら芍薬もいいと思うのだけれど、流石に芍薬は時期が離れすぎているのよね」




ふむ、玉葉さまの言い分にも頷ける……





「玉葉さま、失礼致します」
「紅娘?どうかしたの?」




紅娘さまは私が書いている木簡を見て言った。




「お早めにお召し物を決めようと思い参りましたが、解決しつつあるようですね」
「ええ、けれど紅娘、貴女がいないと私の衣裳も侍女たちの衣裳も決まらないし、それに合う簪も候補を考えるのみよ。せっかくだし意匠をある程度固めましょうか」
「わかりました、韋颯も一緒に考えてね」
『はい、紅娘さま』





そこからあーでもない、こーでもないと衣裳の意匠を考えた。
私は少しずつ決まっていく案を木簡にしたためた。




『では、決まったものを読み返しますね。裳は紅色、着物は薄紅のもの、そして上に羽織る大袖は裳と同じ紅色で、金糸の刺繍を入れたもの、です。型は以前と同じものですが……寒さ対策は如何しましょう。襟巻きなどをするわけにはいきませぬし……』




服は決まったが、寒さが問題だ。




「園遊会は今のように胸元が開いたものではないし……下に綿入れでも着込む?」
「それはやめておきましょう、玉葉さま」




私も同感です、というと玉葉さまは冗談よ、とくすくす笑う。
……どこまで冗談かが、わからない。

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ペネロッペ(プロフ) - 泉さん» ただの思いつきですが、面白いと言っていただけて嬉しいです! (4月3日 16時) (レス) id: f7e8556b3c (このIDを非表示/違反報告)
- “貴人と奇人” という言葉遊び? が面白いですね! 更新頑張って下さい! (4月3日 13時) (レス) @page9 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
ペネロッペ(プロフ) - 結葉さん» がんばりますね! (2月29日 14時) (レス) id: 5ad410143d (このIDを非表示/違反報告)
結葉(プロフ) - 更新待ってます”!!!!!!!! (2月29日 14時) (レス) @page4 id: fd4b88f2aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ペネロッペ | 作成日時:2024年2月29日 12時

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