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「お前の腕が想像以上のものだということがわかった」




壬氏さまは猫猫の隣で呆れたように言った。



「私もここまでとは思いませんでした」
『大丈夫なの?これ』


壬氏さまは放心しているのかいつもの笑みはなく、ただ疲れた顔をしている。
とても珍しい。




私たちの目前にあるのは仲良く抱き合うように眠る三人の侍女たちがいた。胸元ははだけ、(スカート)はふくらはぎまでめくれている。三人とも幸福そうな顔で顔は紅潮している。



卓の上にあるのは恐らく猫猫が作っていただろう巧克力をあれは……麺麭(パン)に浸したのだろうか。……それがあった。



「とにかく各々の部屋へ運びましょうか」



玉葉さまがそう言った。
紅娘さまが貴園を、猫猫と高順で愛藍を、私が桜花を運ぶことにした。愛藍は身長が高いため高順が肩を支え猫猫がその補佐をしているようだ。





『ふぅ……それにしても桜花の顔、真っ赤ね』



ここでいつもなら恥ずかしそうに笑う桜花だが、よっぽど巧克力の刺激が強かったのかぽやぽやとした顔を見せている。
もう夜だし今日は主上がお越しにならないのが救いだ。
もうすぐ玉葉さまの晩ご飯の時間だし鈴麗公主の様子を見に行くとしようか。

鈴麗公主はよく食べる子で、乳もそうだったが離乳食もよく食べる。最近は少し歯が見えてきて成長を感じさせられる。



時折り故郷に戻りたくなるが、玉葉さまの人柄に惹かれる私がそれを拒否してしまう。“葉”は昔から愛想が良く、戌西州にも少ない綺麗な赤毛の胡姫だったが今はそれに加え人望や主上の寵愛がある。

葉に一介の侍女としてでも、仕えることが楽しいのだ。






桜花と猫猫が……と言うより猫猫に桜花が楽しそうに話しているのを微笑ましげにみながら次の主上の御通りの際の香を見繕う。最終的に選ぶのは玉葉さまだが、それの候補を考えるのは私の役目なのだ。

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ペネロッペ(プロフ) - 泉さん» ただの思いつきですが、面白いと言っていただけて嬉しいです! (4月3日 16時) (レス) id: f7e8556b3c (このIDを非表示/違反報告)
- “貴人と奇人” という言葉遊び? が面白いですね! 更新頑張って下さい! (4月3日 13時) (レス) @page9 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
ペネロッペ(プロフ) - 結葉さん» がんばりますね! (2月29日 14時) (レス) id: 5ad410143d (このIDを非表示/違反報告)
結葉(プロフ) - 更新待ってます”!!!!!!!! (2月29日 14時) (レス) @page4 id: fd4b88f2aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ペネロッペ | 作成日時:2024年2月29日 12時

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