あら、ご機嫌よう【薬屋のひとりごと】 (ページ2)

今日:10 hit、昨日:21 hit、合計:4,453 hit

1 ページ2

．

「公主さまのお産まれにございます、玉葉さま…！」

侍女頭の紅娘さまがそう私たちの前で言う。

侍女はあれから段々と人数が減ってしまい、今は五人という少ない侍女で玉葉さまをお助けしているのだが、そんな玉葉さまはお子を授かり、そしてたった今、そのお子がお産まれになったのだ。
そして、度々主上から寵を受けた玉葉さまは今や上級妃の中でも一番格の高い貴妃の位についている。

「玉葉さま、おめでとうございます！」
「無事お産みできてとても良かったです！」
『玉葉さま、可愛らしい公主さまにございます』

産湯に浸かり、おくるみで綺麗につつんだ公主さまをそっと玉葉さまの枕元に添える。
汗を拭き取られたものの、まだ荒い息が残る玉葉さまはもう立派に母親の顔である。

「私の可愛い娘……」

玉葉さまはそう言って公主さまに指を伸ばす。

公主さまは玉葉さまによく似た赤毛に翡翠の瞳を持っていて、とても可愛らしいお子だ。

○●○

「主上のお越しです」

その声に私たち侍女は玉葉さまから少し離れて主上に向かって頭を下げる。

「玉葉、ご苦労であったな」
「ありがたいお言葉です、主上」

ふふ、と玉葉さまが微笑むと主上は公主さまを抱き上げた。

「ははははは」

少しおどけながら公主さまと戯れられる主上はまるで普通の父親のようだ。

この公主さまは、のちに主上によって鈴麗(リンリー)と名付けられた。