年下の男 26 (ページ39)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:128,568 hit

アイディンティティ…CM ページ39

★★★

「情けない……

…あなたのアイディンティティは

異性が居ないと確立できないもののようですね」

静かに首を振り、大きく息を吐いた。

女は睨みつけるように僕を見続ける。

「男の力が無ければ何も出来ないんですもんね。

今までは不倫男。

そしてこれからは…ヒョンに依存して生きていくつもりのようですが…

そんなことはこの俺が許さない…！」

真っ直ぐに

挑むように女を見る。

一瞬

女が怯んだのがわかった。

「……今日でよぉくわかりましたよ。

ヒョンがあんたみたいな女を相手にするわけがない…！

たとえ酔っ払っていたって、

たとえ脅されたとしたって、

何があったってヒョンはあんたを抱くことはない…！！」

腹の底から声を出した。

「…………」

目を見開き、何か言いたげな女は

それでも何も言えずに口元を震わせる。

「ヒョンが好きな女性は、
きちんと自分を持っている女性だ！

優しくて、まじめで、
自分のことよりも周りの人のことを考えて動くような女性！

そのためには自分のことを二の次にしてしまうような人だ！

決してあんたのように私利私欲だけのために周りを巻き込むような事はしない！

Aヌナのような女性がそばにいるのに

あんたみたいな女に一瞬だって気持ちが向くわけが無いんだ！」

勢いで立ち上がり、

声を限りに叫んだ。

僕の言葉に

眉がピクリ、と引きつる女。

「……何よ。

……なんでここにAちゃんの名前が出てくるわけ…？」

立ち上がったことで
かなり上になる僕の顔を睨みつける。

「……わかってんだろ？

ヒョンが好きなのはAヌナだ。

あんたが絶対にかなわない相手」

あまりに腹が立った僕は

とにかく彼女に何か刃を向けたくて必死に語り続けた。

女にとってヌナの名前はきっと、

全てにおけるキーワード。

★★★