19.社長として ページ19
この話がまとまれば、ひとまず事務所としての目標が明確に決まる。
私を売り出す方針も決まる。
一番大事な話だ。
八乙女「いくらの価値、というと?」
「私が社長になったのは、両親が亡くなったことで夢に近ずいていたタレントと従業員を不幸にしたくないからです」
「タレントは、全員独立できるくらいに名を売り、できるなら全員移籍させたいと考えています」
私はタレントの名簿を机に広げ、自分の考えを全て八乙女社長に伝えた。
隠してもしょうがない。
この問題を解決するには、この人に頼るしか道はないのだ。
八乙女「なるほど。A社長の考えはよくわかりました。ですが、タレントの移籍問題はとてもデリケートな問題ですよ。もし、あなたがいうように全移籍が達成して事務所を畳んだとする。だがそれに対する世間がうちに向けるバッシングは計り知れない」
「わかっています。それは、私の芸能活動を通してちゃんとした事実をお伝えするつもりです。外堀を活動前から埋めてしまえば、そうなった時にあらぬ噂が出ても信憑性は低くなる」
八乙女「…………」
「無理なお願いをしているのはわかっています。でも、私は両親に関わったからといって不幸な人を生みたくはない」
八乙女社長は資料を見ながら顔をしかめる。
比較的新しい芸能事務所八乙女事務所。うちの事務所の方が歴は長いが、やはりそこは八乙女社長の力量なのだろう。すぐに人気タレントを輩出した。
悔しいけれど、お金の使い方も、プロデュースもとても参考になる。
八乙女事務所が味方になれば、あとは私がアイドルの道をひたすら進み、他のタレントのプロデュースも並行するだけだ。
八乙女「タレントの価値はひとえに金で決まる訳じゃない。例えばこの俳優。こいつならゴールデンの連ドラの主演3つくらい取れるようになれば売れ時だろうな。あとは…」
「ちょ、ちょっと待ってください!メモします!!」
次々に資料を見ながら淡々と告げていく。
やはり、この人はすごいんだ。
私もこれくらいにならなければ、結局事務所を潰すことになってしまう。
というか急にタメ口になった。きっといつもの社長モードなんだろう。こっちの方がしっくりくる。
八乙女「そして最後に…」
「? もうこれで全員ですけど……」
八乙女「お前自身はアイドルとして、最後はどうするんだ」
「それは、事務所を畳むと同時に引退…」
八乙女「それで、お前のファンになる人は納得するのか」
「え、」
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津々里 捺貴(プロフ) - たかめいさん» ありがとうございますー!!頑張ります!!!! (2020年4月2日 2時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
たかめい(プロフ) - この作品とっても好きです!これからも更新頑張ってください! (2020年4月2日 0時) (レス) id: 651a3f3b57 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 気付いたら10000hit…ありがとうございます!更新まばらで申し訳ない! (2020年3月19日 17時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - 1000hitありがとうございます! (2020年2月28日 1時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
津々里 捺貴(プロフ) - あまりにもアイナナでるの遅いですけど、出ますから!!!安心してのんびりお待ちいただければ!!! (2020年2月21日 23時) (レス) id: d056fe19a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:津々里 捺貴 | 作成日時:2020年2月14日 3時