１章 都立音駒高校 ページ3
##
そんな、何となくに生きている私は今日、家から最も近い高校である「都立音駒高校」に進学した。
音駒の偏差値はそこそこ。友人やら先生やら親からは皆「もっと上を目指せる」と言われたが、わざわざ勉強してまで毎朝満員電車に入りたくはなかった。ならば、ここで天才ムーヴをかましているほうが有意義ですらある。
その思いを熱心に語ったおかげか、彼らは折れて、私は音駒に進学することができたのだ。
入学式が終わり、下校の時間になった。明るい、所謂陽キャな女子達はイエーイとか言って友達と写真を撮り、「この後どこに遊びに行く？」なんて話し合っている。コミュ障から見れば、恐ろしいほどの速度で友達を作っている。羨ましい。ああいう人に絡まれて、友達になれたりしないかな。
そう思って、ふと思った。そうだ、私も友達作らないと。さすがに寂しいと死ぬタイプではないし、一人にさせてほしい時もあるけれど、移動教室も下校も一人ぼっちだったり、教室に居場所を感じられず所謂トイレでボッチ飯をやった中一の二の舞はしたくない。
私もあの子をまねて、今日の内に友達作れたりしないだろうか。
そう思って、あたりをキョロキョロする。すると、体育館の前のスロープに座ってゲームをしている男子を見つけた。ここからおよそ10mくらいか。陰キャオーラを発している、同類だ。私は気づかれないようにその子をロックオンした。
どさくさに紛れて少しずつ近づいてみる。その時、少年のゲーム機から独特なBGMが流れた。それを聞いた時、私は本当にうれしくて泣きそうになってしまった。
はー、ふー。深呼吸して、少年に近づき、声をかける。
「…ねえ、君」
脳内で考えた、一番フレンドリーで、また一定の距離を保てる、これからのクラスメイトとして一番かけられて嬉しであろう言葉をかけてみる。すると、少年はギクッとして私を見上げた。黄色い、猫のような目が、怪しむように私を見上げる。わかる、わかるよ。私が君でも、そういう目をする。
##
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
露萩(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます😁💕 その様にご応援いただけて誠に光栄です🙌🏻😭 更新の励みになります💕 (4月29日 11時) (
レス) id: 59536f34c0 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新が待ち遠しい……文才も神ってますね!!夢主様の設定とか諸々好きです💞応援してます!! (4月29日 10時) (レス) id: aa3c92bdc8 (このIDを非表示/違反報告)
露萩(プロフ) - 時雨さん» コメントありがとうございます😁💕 そういう風に言っていただけて光栄です🙌🏻 更新の励みになります💪🏻 (4月7日 14時) (レス) id: b331db759b (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - とても面白かったです！いままで読んできた作品には無いようなキャラとの距離感でこの後の展開が気になって仕方ありません…！更新楽しみにしてます！！ (4月7日 13時) (レス) @page20 id: 301607acc2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
