ページ ページ18
##
その瞬間、私は察してしまった。私のいい加減さや、私一人の無気力により皆にかけていた迷惑を。そして私の馬鹿げた諦めを。
あの子は転んで、自分が傷ついて、それでもまた立ち上がって走り出した。私だったらきっとイライラしながら歩く速度で次の人に渡すだけだったか、バトンが地面についてそのままゲームオーバーだっただろう。もう勝ちは諦めて。その挙句、負けの原因を「皆があの後追い上げてくれなかったから」とか「きちんとグラウンドが整備されていなかったから」とか、他人のせいにしてしまっていただろう。
事実、転んだのは私ではないくせに勝手に負けを確信した。今、テントの下で治療を受けているあの子は今も勝利を信じているだろう。……勝てなかったら、彼は涙を流せるだろう。それほど真心でたかが体育祭というイベントに向き合っていたのだ。
(私は……クズだな)
ぼんやり頭の中に浮かんできた二文字だった。今の自分にぴったりと嵌る二文字だった。でもこれは一日の感動で直せるようなものではない。……こう思う時点で、私はもう末期なのだろうし。
半周の遅れを取って、八番が出発した。私はそれを目で追おうと振り返った。その時、何だかたくさんの視線が私に刺さるような、そんな気がした。
――ねえ、鈴瀬さん、絶対真面目にやってないよね
――ね。皆のがんばろって空気読めないんだ
――だから一人でいるとか？
――ま、ガンバローよ。人生で一度だけの高校生活なんだからさ
目線が刺さる。非難の目線が。呆れの目線が。諦めの目線が。蔑みの目線が。
息が詰まる。腹の底がひゅうっと冷えていくような感覚に囚われる。
――やめろ、やめてくれ。そんな眼で私を見ないでくれ。また、私の不幸をあなた達のせいにしてしまう。
心の中でそう祈り、立ち尽くした。
##
気づいたら急に順位がつきだしてびっくりしました。ありがとうございます。
また、見返してみるとキャラ崩壊している気がしたので手あたり次第ストーリーを変えない程度に直していきたいと思います。よろしくお願いします。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
露萩(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます😁💕 その様にご応援いただけて誠に光栄です🙌🏻😭 更新の励みになります💕 (4月29日 11時) (
レス) id: 59536f34c0 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新が待ち遠しい……文才も神ってますね!!夢主様の設定とか諸々好きです💞応援してます!! (4月29日 10時) (レス) id: aa3c92bdc8 (このIDを非表示/違反報告)
露萩(プロフ) - 時雨さん» コメントありがとうございます😁💕 そういう風に言っていただけて光栄です🙌🏻 更新の励みになります💪🏻 (4月7日 14時) (レス) id: b331db759b (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - とても面白かったです！いままで読んできた作品には無いようなキャラとの距離感でこの後の展開が気になって仕方ありません…！更新楽しみにしてます！！ (4月7日 13時) (レス) @page20 id: 301607acc2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
