ページ ページ15
##
体育祭当日。天気は快晴。まるで暑がりの私に喧嘩を売るかのごとき日差しにイライラする。
私のクラスは赤組だったので、赤い折り紙を透明なペットボトルに詰め込み、それを振る形で赤組を応援することになった。
(はあ……あっつ……)
中学時の友達談、他の学校では二学期に体育祭が行われるらしい。不服になって先輩(主にバレー部の)に問うてみたら、うちの学校では球技大会の影響で五月の体育祭になっているのだそうだ。不服。
「次は、一学年のクラス対抗リレーです。一年生は、準備お願いします」
アナウンスが聞こえ、一年生達は次々と席を立ち、決められた場所へ向かった。
「皆、頑張るよー！」と主に練習を計画したりしていた女子が高らかに言った。それに周りの人がおーと応える。
その景色を見て、私は黒尾先輩の言葉を思い出していた。＿＿『人生で一度だけの高校生活なんだからサ』
人生で一度だけの、高校一年生の体育祭。
きっと楽しんだ方が得なのだろう。しかし、私はもうすでに人生の楽しみ方を忘れてしまった。
「よーい……」
体育委員長が、ピストルの引き金を引いた。
最初の一人が走り出す。バチバチとした勝負が始まった。割り込むようにインコースに入り、流れるように次の人にバトンを渡す。
どうやら練習に励んだのは私達だけではなかったらしい。他のクラスもかなり本気で走りに来ている。
私は六人目。意外と前の方になった。とはいっても、作戦が前後五人を速い人にするというものなので、喜んでいいのかは微妙な線引きなのだが。
あっという間に私の番がやってきた。
……緊張していないと言ったら嘘になる。心臓がドクドクいっている。だが、私はなぜ自分がこんなにも緊張しているのかがわからない。
##
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
露萩(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます😁💕 その様にご応援いただけて誠に光栄です🙌🏻😭 更新の励みになります💕 (4月29日 11時) (
レス) id: 59536f34c0 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新が待ち遠しい……文才も神ってますね!!夢主様の設定とか諸々好きです💞応援してます!! (4月29日 10時) (レス) id: aa3c92bdc8 (このIDを非表示/違反報告)
露萩(プロフ) - 時雨さん» コメントありがとうございます😁💕 そういう風に言っていただけて光栄です🙌🏻 更新の励みになります💪🏻 (4月7日 14時) (レス) id: b331db759b (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - とても面白かったです！いままで読んできた作品には無いようなキャラとの距離感でこの後の展開が気になって仕方ありません…！更新楽しみにしてます！！ (4月7日 13時) (レス) @page20 id: 301607acc2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
