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「玉、冗談、やめて。」

「・・・・。」

「ほら、起きたんなら帰ろう?ここを出ないと。」

「・・・・。」

「玉、ねぇ。」

「なんで?」

「え?」

「俺のこと、好きだろ?」

「・・・・!」

これにはすぐに否定をせねばならなかった。

出来るわけがなかった。

出来るわけがなかったんだ。

息を吸うだけで吐き出すことを忘れた。

瞬きも忘れた。

玉の言葉の真意を必死に探ろうにもパニックでどうにも頭が回らなかった。

いつからバレていた?

いや、違う?

あぁそうか。

単に友人として、という意味に違いがない。

違いが、ない。

その考えになんとか至った。

それなのに、もう否定が出来そうもない。

言葉にならない思いが渦巻いて、もはや取り繕うことは出来なかった。

だって限界だったのだ。

もう、限界は超えていたのだ。

玉の瞼がもう一度持ち上がって、綺麗な瞳が俺を真っ直ぐに捕らえた。

もうダメだ。

完全に無理。

終わった。

だって、鏡がなくても自分がどんな表情をしているのか大体の想像がついた。

口で何を言ってももうどうしようも弁解が出来ない顔に違いなかった。

しかし玉はまた、俺の想像の斜め上なことを言った。

「俺をお前のにしてもいいよ。」

「・・・え。」

俺の声は酷く掠れていた。

軽蔑されると思っていた。

気持ちが悪いと言われると思っていた。

友達だと思っていたのにと。

裏切り者だと、最低だと、言われると思っていた。

「ちゅう、しないの?」

「玉・・・。」

「ねぇ、俺が好きでしょ?」

そう言って玉は僅かに口角を持ち上げながらもう一度瞼を閉じた。

俺は玉に覆い被さり薄い唇に自分のそれを押しやった。

限界だった。

限界を超えていた。

頭の中で張り詰めた糸が千切れてしまった。

「玉・・・!」

何度か角度を変えて、ただぶつけるだけの口付けをした。

玉はそれに答えてくれた。

柔らかかった。

想像していたよりもずっとずっと。

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わたリン(プロフ) - イチさん、お気になさらず…いつまでもお待ちしております〜(*´▽`*)楽しみがあるってありがたいデスよ(〃'▽'〃)よろしくお願いいたします(。>ω<。) (2018年12月19日 20時) (レス) id: 361028ec87 (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - わたリンさん» ほんっとお待たせしてしまってますよね、、すみません。難しいです。。でも適当にはしたくないので頑張りますね!! (2018年12月10日 23時) (レス) id: 89e040e4cb (このIDを非表示/違反報告)
わたリン(プロフ) - イチさん!!更新ありがとうございます(´;ω;`)お待ちしておりましたヽ(;▽;)ノ凄くきゅんきゅんしましたぁ!。:゜(;´∩`;)゜:。いつまでも続きをお待ちしております(。>ω<。) (2018年10月10日 17時) (レス) id: 361028ec87 (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - ようかんさん» 大変ならがくおまたせしました。待ってくれている人がいると思うと本当に頑張れます。次は早めの更新で頑張ります!! (2018年10月10日 6時) (レス) id: be08ec388e (このIDを非表示/違反報告)
ようかん(プロフ) - 初めまして!!イチさんの宮玉小説、既に何回も繰り返し読ませて頂いてます。なので今回の更新がとても嬉しいです!これからもイチャイチャ待っております! (2018年7月25日 22時) (レス) id: 9be9c5d695 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イチ | 作成日時:2017年12月6日 17時

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