つたなく愛して。【宮玉】

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スマホを見ていた。

ゲームをしていた。

指はなかなか動かせなかった。

全く集中なんてものは出来なかった。

膝に感じる玉の温もりと吐く息の温かさに全神経がいっていた。

後悔した。

この生き地獄を後悔した。

でも当たり前のことのように膝に頭を乗せた玉を拒否することなんか出来なかった。

あの時、玉を泣かせたあの日。

玉の手を払いのけた後悔がずっと消えないままだった。

にしたって、キツ過ぎる。

ゲームは諦めた。

傍らに置いた。

玉の顔を覗き込んだ。

変わらず綺麗な顔をしている。

ドラマの撮影はいつまで続くのだろう。

きっとクランクアップまでまだまだだ。

ため息しか出ない。

忙しい時の玉は本当に毒だ。

俺に全面的に甘えてくるのだから。

普段はツンとした猫のようなのに、この時ばかりはまるで子猫のように甘えたたがりで。

俺に纏わりついて。

痩せてしまうからか、眠たげだからか、なんだか儚げで放っておけなくさせる。

まぁ尤も、普段でもそれはそうで、構いたがりな俺と実のところ寂しがり屋で態度とは裏腹に構って欲しがりな玉だから、変わらないのだけれど。

普段は照れくさいのかなかなか態度に出さないのにね。

儚げな玉に構ってって全身でアピールされてしまうとね。

もういい加減、理性なんてもんは自ら切ってやろうかって思ったりもするんだよ。

そんな勇気、ないくせをしてね。

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