検索窓
今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:71,409 hit

きっかけの日 ページ6

歌番組の収録終わりの楽屋でのことだ。

連日ドラマ撮影をしていた玉は誰が見てもやつれて疲れていた。

「寝られるときに寝ろよ」とキタミツが言って「大丈夫〜。」とヘラっと笑いながら答えた玉はソファに腰掛けていた俺の傍に寄ってきて、躊躇いなく座っている俺の膝に頭を預けた。

「寝るの?今日はもう終わりでしょ?家帰って寝なよ。」

「だって、宮田のとこが一番落ち着く。」

「あら。今日は素直に可愛いこと言ってくれる。」

「うるさい。黙って。寝らんない。」

「ごめん。」

瞼を閉じた玉はすぐに寝入ってしまった。

あぁ生き地獄とはこのことか、と思った。

「玉森、寝ちゃったの?」

着替え終わった二階堂が俺の膝の上で丸まる玉を見て言った。

「うん。あっという間だった。」

「帰んないの?もう送迎車来てるって。どうすんのよ。」

「すっげー疲れてたっぽいし…。付き合うわ。」

「お前、玉森の家来かよ。」

「はは、否定できない。」

「下僕だな、下僕。」

言いながら玉にブランケットをかけてあげるお前もじゃん、とは言わなかったけれど。

明日も仕事と言うのに帰りもしないで枕やっている自分が大概な自覚はあったから。

「ついでに俺のスマホを取って頂けませんか?」

「俺はお前の家来じゃねー。」

言いながら俺の鞄を持ってきて、玉に配慮してそっと傍らに置いて「お疲れ、お先」と楽屋を出ていった。

入れ違いにマネージャーが顔を出して「後、1時間くらいならこの部屋大丈夫ですよ。」と言った。

きっと二階堂が俺と玉は送迎車に乗らないと理由を添えて伝えてくれたのだろう。

「解りました。」と伝えるとマネージャーは翌日の入り時間を簡単に念押しして帰っていった。

メンバーも皆帰ってしまって、シンと静まった部屋に玉の寝息だけが僅かに聞こえた。

007→←005



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (239 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
503人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

わたリン(プロフ) - イチさん、お気になさらず…いつまでもお待ちしております〜(*´▽`*)楽しみがあるってありがたいデスよ(〃'▽'〃)よろしくお願いいたします(。>ω<。) (2018年12月19日 20時) (レス) id: 361028ec87 (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - わたリンさん» ほんっとお待たせしてしまってますよね、、すみません。難しいです。。でも適当にはしたくないので頑張りますね!! (2018年12月10日 23時) (レス) id: 89e040e4cb (このIDを非表示/違反報告)
わたリン(プロフ) - イチさん!!更新ありがとうございます(´;ω;`)お待ちしておりましたヽ(;▽;)ノ凄くきゅんきゅんしましたぁ!。:゜(;´∩`;)゜:。いつまでも続きをお待ちしております(。>ω<。) (2018年10月10日 17時) (レス) id: 361028ec87 (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - ようかんさん» 大変ならがくおまたせしました。待ってくれている人がいると思うと本当に頑張れます。次は早めの更新で頑張ります!! (2018年10月10日 6時) (レス) id: be08ec388e (このIDを非表示/違反報告)
ようかん(プロフ) - 初めまして!!イチさんの宮玉小説、既に何回も繰り返し読ませて頂いてます。なので今回の更新がとても嬉しいです!これからもイチャイチャ待っております! (2018年7月25日 22時) (レス) id: 9be9c5d695 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:イチ | 作成日時:2017年12月6日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。