【○魂】逃げた子兎、支配する兎 5【神威】

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重ねられた襟元が崩されて、白粉いらずの白い肌が鎖骨あたりまで晒された。

その肌を、神威の指先がなぞる。

身体を強張らせるAに、

「あは」
遊女なのに、随分ウブだね？
そう神威が含み笑いをした。


遊女が、どんなことをするのが生業なのか。


たまたま銀時も新八もいる時に見ていたドラマに、
歳若い男女が薄暗い中抱き合い、共に布団に倒れ込んで暗転、
後に妊娠という展開があって。

「なんでアレで赤ちゃんできるアルか？
あの後ふたりは何したの？」

そんな疑問を男達にぶつけ、答えに困らせたこともあったが

それは後日、また三人揃ったところに流れた別ドラマに濃厚なベッドシーンがあったことで解決した。

「なるほど、こうやって裸でなんかヌチャヌチャするとできるアルな。
ただ一緒に寝るだけなら、銀ちゃんとの間にも赤ちゃんできるかもって焦っちゃったヨ」

その発言は、ただてさえ気まずげな(男二人)空気だったお茶の間を凍りつかせたという。


そういう行為をするのが、遊女だ。

だから神威は遊女だと思っているAと今、ヌチャヌチャしようとしているのだ。


鎖骨から喉元へ、下から辿ってきた指先に
Aは顎をクイッと持ち上げられる。

より近づく神威の顔、そして。


「っ！」

唇が重なった。

最初は、兄妹間の習慣にした挨拶を思わせる、啄むようなソレ。
ちゅ、と離れた唇からは小さなリップ音。

すぐにまた押し当てられた神威の唇、今度は強く
何度も角度を変えながら、時には食んで吸いついて。

Aは呼吸の仕方を忘れたかのように、せき止めたままの息が苦しくなって頭に酸素が回らない。

けれど抵抗もできないのは、神威のキスを受入れる以外の術を知らないから
そういう風に、意識の根底まで刷り込まれていた。

顔同士はゼロ距離のまま、唇だけが離れ、
常より心なしかプクリと腫れたAのその唇に
神威の親指が触れる。


神威はふにふにと弄んだ後、親指で下唇を押し下げる。
わずかに開く口を、Aはつられるように自らでもっと開いていった。

それを褒めるみたいに、見つめ合った目を細めた神威が、
できた隙間に舌を差し込んだ。

唇同士の距離もなくなって、神威の舌はAの口内を思うままに暴れだす。

「……ふ、ぅん……っ」

上顎を舌先でなぞられて、Aは
甘えた子犬のような吐息を漏らした。

「ん……ぁ……っ
……ゃ、……ふっ、ﾝ……」

ゾワゾワと、頭が痺れる、貯まる熱が身体中を駆け巡っていく。

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