【○魂】逃げた子兎、支配する兎 5【神威】

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そんなAを見て神威は何かを言いかけるが、

「さっきからさァ、存在忘れられてね？俺ら。
家主をほっぽって二人の世界作んないでもらえますかァー」

銀時の声に遮られる。

「確かに僕達蚊帳の外でしたね」

新八もそれに続いて同意。
空気が変わったことに、Aは少しほっとしていた。

それを受けて、神威は顔だけを正面に向けると言う。

「ん？ああ……ゴメンゴメン。
じゃあ話入ってきていいよ、はいどーぞ」

いざとなると二人は、
いやどーぞって言われても……タイミングと間合いってのがあるからとゴニョゴニョ。

そんな中、ピンポーンと部屋中に音が響き渡った。

「私、出てくるアル！」

Aは率先して名乗り出る。
神威に返す言葉を選ぶ時間としても、丁度いい。

「その間三人でお喋りでもしてるヨロシ」
そう告げて、玄関の方へ歩いていった。



残された男達、広がるしばしの沈黙。

「どーすんだよ、おい新八何かいい話題振れ」

「いやそんなこと言われても……」
　
銀時が新八に耳打ちして、しょうがなしに新八が口を開きかけた時、

「ねェ」
それより早く神威に呼びかけられた。


「お兄さん達は、姉さんの仕事仲間ってさっき聞いたけどさ
どんなことやってるの？詳しく教えてよ」

「俺達は、万事屋……所謂何でも屋ってヤツだな、つーのをやってんだ。
俺と、そこの眼鏡、それからお前の姉ちゃんの三人でな」

銀時の説明に、そうなんだーとニコニコ笑いながら相槌を打つ神威。

「Aの弟っていうからどんなヤツかと思ったが……」

「問題はなさそうですね、愛想もいいし」

銀時と新八は再び囁き合う。
神威の方は、頬杖をついてそんな二人を眺めながら
また、「ねェ」と呼びかける。

そして変わらぬ笑顔のまま、言った。


「お兄さん達はさ、
撲殺銃殺刺殺どれがいい？」


「……え？」

綺麗にハモる銀時＆新八の声。

「え、何？ナニソレ？
嫌な予感しかしねェんだけど」

「だーかーら、撲殺銃殺刺……」

「いやそれは聞こえてるんだ、ただなんで僕達にそれを聞くのかが分からないっていうか」


眉の動き一つ、口角の上がり具合さえ保ったまま間髪入れず神威は答えた。

「だって、恐らく地球で姉さんの一番身近な異性で
心を許してるのが君達なんだろう。
そんなの、腹が立つし目ざわりだし……ちょちょっとさくっと殺っとくかってね」

ニコニコ。ニコニコ。

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