【○魂】逃げた子兎、支配する兎 5【神威】

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言いながら、新八は神威を見た。

恐らく、新八よりも身長は小さくて。
体格も、細身と分類されるだろう。
服の上から見る限り、筋肉量が人一倍多いって訳でもなさそうだ。

それに少年の面影を残した幼さげのある顔つき、
視覚から一見した情報では、とてもそんな肩書を読み取れない。

だけど、あの巨大えいりあんをたった一撃で仕留めたことが何よりの証拠になる。


それに神威は今14歳だそうで、まだまだ成長過程、
加えて夜兎というものはそもそも、新八の常識では計り知れないことだらけだ。



「でもホントに大っきくなったアルな、神威。私身長追い抜かれちゃったヨ」

「成長期だからね。まだこれからも伸びると思うよ」

一方、姉弟は顔を向き合わせ久々の再会に盛り上がる。

「……でも、姉さんも大きくなったね」
どこが、とは言わないけれど。

「デショ！？
銀ちゃんとか皆、私のことちっちゃいちっちゃい言うけど、私だって確実に成長期はきてたアル。
やっぱり神威は分かってるアルな〜さっすが我が弟ネ！」

神威の視線は、Aの鎖骨より更に下、
二つの膨らみへと。

「うん、成長してるヨ」

ちなみに、子供の頃よりは多少伸びているが今のA身長は、平均からすると大分小さい。


「それに、宇宙最強って呼ばれるようになってたなんて、すごいヨ！
頑張ったアルな。神威」

優しく微笑む姉の顔をして、Aは言う。
昔、幼い神威を褒めた時と同じように。

「ありがと、姉さん。
そうだね俺、頑張ったんだ。
少なくとも姉さんをちゃんと守れる位には、強くなったと思ってる。

だから 帰ってきたんだ」

神威が、そう真っ直ぐAの目を見る。

「だけど烙陽(あそこ)に行っても待ってるって言った姉さんはいないし
それからずっと、探し回ってた」

「ゴメン……」

まだ神威は戻らないと、そう思っていたとはいえ結果的に嘘をついた。
Aは目線を少し落として、気まずげに謝る。

「ううん、俺が何年も待たせたのが悪いから。
それに、こうして今日見つけ出せた。
もう待たせない、一人にしないよ。だから」

“一緒に帰ろう”

神威は、優しい声で
Aがうんと頷くことを疑いもしない笑顔で言った。


久しぶりに会えた、大好きな弟。
Aだって寂しかった、会いたかった
そんな弟が、自分を探してこんな所まで来てくれたことを嬉しく思う。

でも、またあそこに
烙陽に、戻る。それは。

言い淀んで、口を開いて、言葉に詰まる。

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