【○魂】逃げた子兎、支配する兎 5【神威】

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何も考えられない、ただ舌先が与えてくる感覚を必死に受入れる。

続けざまに、神威はAの引っ込んだ舌に
舌を絡めた。

怯えて逃げる舌をどこまでも追いかけて、捕まえて
ほんのわずかなザラつきまで擦り合う感触を覚え込ませるように。


「……ふっ……ぁ……、ぁ……っ」

バレないために喋れない設定にしていたことなど、Aの意識からはとうに消え去った。

絡めた舌が吸われ、Aはギュッと目をつぶる。
だけど相変わらず呼吸の仕方は分からない、息苦しさに涙を浮かべて、すぐに薄ら目を開けて。

神威と、目があった。
お揃いの青い目を笑みに細め、Aの反応をずっと見ていた神威と。

「んっ、ふぅ……っぅンンぅﾞ……！」


舐めてなぞって、吸って食んで。
存分に味わい尽くした神威が、ようやっと唇を離した頃には
Aは息も絶え絶えで、横たわった身体には力が入らない。


神威が、そんなAの首筋に今度は唇を落としながら
割り開いた着物の足元から手を潜らせる。

下から這い上がる手のひらが太ももまで到達しよう時、Aは慌てて待ったをかけた。

「……何？
いっとくけどもう、止まんないよ」

上手く力が入らないながら必死に進もうとする神威の手を押し止め、Aはブンブンと首を勢い良く横に降る。

神威は気づいてないから、だから止まってくれない。
もうバレるのはしょうがない、伝えなければ
自分が、妹だと。

「……神威っ、私は―――」


「A」

「……へ……？」

Aの口が紡ぐより早く、飛び出た己の名前。

「知ってたよ、最初から。
俺がお前を分からないはずないだろ」

神威は唖然とするAに言う。


知っていた？
ならば
「なんで……」

Aが小さく溢した。

それは本来赤ちゃんができる行為で、遊女の生業でもあって、兄妹には最も縁遠いはずの。

Aだと認識したその上で、神威は行っていた。


いつかの日と、今が重なって見える。

「今年はタンジョービ祝えなかったけどさ
……Aはもう、14になったよね。
俺の言ったこと 忘れちゃった？」

“次のステップ”って、さ。

そうか、アレは。


―――ああ。
目の前にいるのは、もう兄じゃない。




打ち付けられたように、鈍く重く頭が痛む。

混沌の渦に呑まれたAをお構いなしに、
神威は肌に触れた手を動かして“続き”をはじめた。

乱れ露出した白い足を手のひらが滑り、上り詰めてゆく。

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