【銀魂】逃げた子兎、支配する兎 6【神威】

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ヅラのヅラJrをとってヅラ子になってしまったらしいイボ桂が、
その複雑な状態で男と女どちらに入ったのかは気になるところだが、お手洗いから戻ってきたところで

ついに新郎新婦の入場となり、音楽と共に扉が開いた。


まずは白いタキシードに身を包んだ新郎、沖田が入場し、聖壇前へ。

そして次は―――新婦の入場。

純白のウェディングドレス姿のAは、綺麗だった。
あれがただのイボでしかないと分かっている新八も、思わず周りと同じような感嘆を息をもらすほどに。

そしてAの横で腕を組み、聖壇へと伸びるバージンロードを共に歩くのは、銀時だ。

今も宇宙を飛び回る星海坊主の代わりとして、新郎へ新婦を引き渡す役目。

それは、かつてA(イボ)の恋人で、変わらない想いを持った男に任せるには酷なように思える、
けれどだからといって、他に誰がと言われれば
銀時以外はいないのも事実で。

それに、今の銀時の表情は
かつてのようにAを取り戻さんとギラつくものでなく


「……銀時さん」

「こいつのこと泣かせたら、承知しねェかんな。いつでも奪いにいってやらァ。
……Aのこと、まかせたよ」

「ありがとう、銀ちゃん……」

娘を送り出す親父のように、
そして、惚れた女の幸せを一番に願う男として、

見守っていくことを決めたものだった。


「……銀さん」

役目を終え戻ってきた銀時を、新八は気遣わしげに声をかける。

新八は、素直に感動していた。
銀時の、自分は身を引き相手の幸せを願える強い姿に。イボだけど。

そして、微笑み合い手を取り合い 聖壇へと登るこの世の祝福を一身に集めたような新郎新婦の姿に。イボだけど。


そうだ、例えイボだろうと当人たちの中では築き上げた信頼が、愛情が、物語があって
そしてその集大成であるこの結婚式くらいは、無事に終わらせてあげたっていいじゃないか。

元に戻すのは、それからでもきっと、遅くない。
そう新八は、向かい合う二人の姿を見つめる。

ふと沖田は、感極まったように顔をそむける。
その俯き気味の表情が、新八の位置からはよく見えた。


「……え？」

それは、ウィルスの影響のない正常な状態である新八だからこそ、気づけたことだろう。

沖田の口元が、ニヤリと引き上がる。

それは照れ笑いには到底見えなくて、
すぐに手のひらで覆い隠された一瞬のことだったけれど、

そう、あれはまるで通常の沖田が時折していたドス黒いサディスティックな笑みそのもののようで。

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